コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

[戻る]
■ 損して得取れ2022.10.14

金運の良い人はお金に対して「細かい」より「アバウト」・・・と以前に述べたと思うが、表題の言葉についてもこの論が立証されるようなので少しこの理屈について書いてみたい。

医療機関において入院中の患者さんを他科に受診していただくと点数上(医療収益上)「減算(マイナス)」になるそうである。
これは奇妙なルールであるが、このような例は結構多い。
現在の保険医療制度では「数え上げたらキリがない」というくらい多い。
即ち「患者さんの為に親切であろう」とするとドンドン損をするというコトが起こるのである。

たとえば上記の例で考えれば入院中の患者さんが「歯痛」があるとすると当然患者さんの為に歯科受診(他科受診)となる。
これは「脳」にしろ「眼(眼科)」にしろ「骨(整形外科)」にしろ「耳(耳鼻科)」にしろ適応されるルールらしく、これらの規則による減収は即ち損に敏感で「損をしたくない」と医療機関の側が考えれば入院患者さんを「他科受診」させないということが起こるかも知れない。
これはいささか・・・と言うか患者さんにとっては極めて深刻な問題であると思える。
それはたとえば入院中の疾病より「重い病」を患った場合でも担当の医療機関が「他科受診」させず「相当の苦痛を経験する」とかひょっとして万が一にも「死に至る」コトもあるかも知れないから。
実際にそういう「事件」を、某医療機関での例を伝聞したコトもある。
その件の病院では「他科受診させない」というルールを「減算される」という理由でかたくなに厳守されているらしく、これは結果的に大損になると考えられる。
そういうルールがあることによって結果的に患者さんが「死に至る」とかあまりの苦痛(他科にかからなかったコトによって生じる)や病悩によって自己都合退院して他科に転科入院となった場合など長い目で見た場合には一人の患者さんから将来得られる筈の「利益」というものが失われてしまうのみならず、世間の「悪評判」という結果をも引き受けなければならないかも知れないからだ。

反対のそれらの「減算」などどうでも良い「患者さんの為」や「利益」の為なら多少の損も全く問題ないとしてその訴えや症状に寄り添うならばひょっとして一人の患者さんが一生涯信頼して「かかって下さる」かも知れず、その損をしてまで患者さんの苦痛や痛みを「取ってあげよう」というその「打算的でない」良心的(?)医療機関は結果的に長期にわたって堅実な利益を得られる可能性がある。

まさに「深慮遠謀」という言葉の結果としての行動が「損をして得を取れ」なのである。
いかなる理由であれ基本的に「患者さんの為」に「益になることはなく不利益になることをしない」・・・という極めて単純なコンセプトが当科では理念にも謳ってあるので筆者を含め全スタッフにも周知共有されている。
結果「減算」という言葉に惑わされずドンドン他科を受診していただいているし、そのコトによって患者さんにも喜んで貰っている。
また「他科受診」や「転院転科」を希望されるからと言って誰も不快になることはない。

「小さな損」「大きな損」にかかわらず長い目で見ればすべからく「お得」になると信じているし、結果的には大きな「益」を得ていると考えている。
アバウト(大雑把)というのも特に小さな損に無頓着で鷹揚であるという点で理にかなっていると思える。

ありがとうございました
M田朋玖



濱田.comへ戻る浜田醫院(浜田医院)コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせいよくある質問youtubeハッピー講座