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■ セイコーロードマーベル | 2022. 6.24 |
パテックフィリップ カラトラバという腕時計がある。 このブランドは所謂「雲上ブランド」とのことで、それが金無垢ならば数百万円はする高級時計だ。 何故か人気も凄い。 勿論「手に入れよう」などと思っている訳ではない。 個人的な好みとしてこの円形のドレスウォッチは直径が40mmを超えていて、まず「デカ過ぎる」。 普通の日本人の細腕だと手首の横幅を9割方占領してしまって何となく「格好が悪い」。 そのうえ金の縁の幅が広く、いささか「仰々しい」と感じる。 このサイズと金の広さの為に、遠視すると「時計が歩いている」という風に見える(YouTubeの映像によれば)。 それで購入されたご当人としては大いに満足をされておられるようではあるが、個人的な「外見」への感想を述べるといくらか「滑稽」に見える。 腕時計の趣味というのは基本的に極めて「自己満足的」な類なので、自分が「良い」と思い「満足」ならばそれで完結している訳であるけれど、コト「他人の目」を意識し始めると傍目にはいくらか妙ちくりんな態になるようである。 特に高級腕時計の場合にはそれが高価であることが人間の精神を幻惑するように思える。 考え過ぎであろうか。 ところで筆者も高級時計の魅力に取り憑かれてしまってスイスの高級ブランドであるジャガールクルトの角型のソレ(レベルソ)を手に入れた。 勿論、正価ではなく中古品だ。 定価だと300万円近くする。 たかだか腕時計ごときにそんな大金を出すのには気が引ける。 妥協して100万円ならと思い切って「清水の舞台から飛び降りる」覚悟で購入してみた。 内心では不満足なら「売ればよい」とタカをくくっていた訳であるが、実際手に入れてみるとこれがまた言葉にできないくらい「素晴らしい」。 そのうえ仕事の時にも「身につけて」いるのでしょっちゅう目に入るし、これによる仕事のモチベーションは嘘みたいに「爆上がり」している。 オドロキだ。 不思議だ。 ・・・それで毎日そのジャガールクルト(レベルソ)の金時計をしていたらどうも「傷んでしまう」ような気がしてもう1本同レベルの金時計を「欲しくなって」・・・それも円形のソレを手に入れたいと考えて色々ネットで見ていたらアンティーク時計の「セイコーロードマーベル」の金時計に行き着いた。 これは昭和33年から数年間製造され、そのとりあえず「高級時計」のブランドはグランドセイコーに引き継がれたようであるが、その「姿形」は先述したカラトラバ(パテックフィリップ)やグランドセイコーよりはるかに「美しい」と感じる。 そのうえ円型で金色の「きらめき」を放ちつつも、「羽根のように軽く、着け心地が極めて良ろしい(重い腕時計は苦手。手首にフィットして動かない類が好みだ) ドレスウォッチの基本、革ベルトでキッチリ腕に巻きつけるのを「良し」とする感覚なので、このセイコーマーベルはジャガールクルトを休ませるのに格好の逸品であった。 個人的な好みではどの高級時計よりも無条件に「美しい」と感じる。 それに仕事のモチベーションも遊びのソレも上昇するなら、結果的に安い買い物と思える。 1日中その腕時計、金無垢セイコーロードマーベルをしみじみと眺め、ウットリと見つめていると或る種陶酔感すら味わえるので「自分のアタマが変になったのではないか」とさえ考えてしまう始末。 イヤハヤ。 我ながらこんな強烈な「精神の変容」をさせるチカラが単なる腕時計ごときにあるなんて夢にも思わなかった。 世間にかなりの数量潜伏しておられる「腕時計フリーク」の男達の気持ちが今は少し理解できる。 いくらか「遅咲き」。プチ腕時計キチガイの呟きでごさいます。 ありがとうございました M田朋玖 |