コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 「21世紀の資本論」2022. 3.25

トマ・ピケティは1971年生まれのフランスの経済学者だ。
その著書「21世紀の資本論」は世界的ベストセラーで多くの人々に読まれているが、残念ながら現時点では先進国を中心とした国々の政治経済制度に影響を与えてそれを「変化させた」とは言い難い。
何故なら当然ながら経済格差の「富んでいる」側の賛意を得られないからだ。
今は「富と権力」がすっかり融合してしまって所謂「貧富格差の増大システム」は微動だにしないほど確固たるモノになっているようだ。
イヤハヤ・・・。

ピケティの研究は200年以上の税務データを丹念に精査に検証してあるということで強い説得力を持つ。
即ち多くの富裕層の所有しているビジネス・財、つまり株・債券・不動産などの資産が生み出す「資本収益率(50%程度)」(r)は常に「経済成長率(1〜2%平均)」(g)よりも高いということを実証した。
「r>g」という不等式は経済的不平等、即ち貧富の格差の原因として明確に人々に展覧してみせており見事である。
実際に各種の賞を貰っているようだ。

格差の増大についての重要な問題は「増大傾向」が「正当化」され「容認されている」ということである。
「世襲富裕層」即ち相続された富に対して「適正」な徴税が充分でなく「持てる者」が益々豊かになって行き、結果的に「格差」が「拡大」して社会を不安定化させているという現実がある。

昔はそうした格差は世界大戦や世界恐慌があった1910年代から1950年代は例外的に格差が小さかった。
この当時の累進課税率は世界的に高く保たれており「富の再分配」という国家の重要な機能が働いていたようだ。

また第二次世界大戦後の1970年代後半からは高い経済成長率によって相続などによる財産の重要性を相対的に減じたと考えられている。
これらの時代の後半に「富裕層」や「大企業」に対する減税などの政策によって格差が再び拡大に向かうことになった。
これは特に米国において顕著で政治献金が「自由化」されることによって政治家と富裕層、起業家が悪く言うと「癒着」してしまってこれらの悪しき傾向が「止まらない」システムが出来上がったと考えられる。

ピケティはマクロ経済学者サイモン・クズネッツの仮説「資本主義経済では初期には格差が拡大するがその後は縮小に向かう」という理論を否定した。
1955年当時(クズネッツの論が発表された当時)と比べ実際に1980年代は格差が再拡大しているということをデータで示した。

資本主義経済の特徴は資本の「効率的な配分」を目指しており公平な配分を目的としてはいない。
これらの結果、かつて信じられていた「アメリカンドリーム」の実現は一部の天才的スポーツ選手以外には発見されなくなってしまった。
勿論例外はある。
現在のアメリカは他国と比べても社会の「富の流動性」はそれほど高くないとされているようだ。
富の不均衡、即ち「格差是正」の為には
@全世界に20%の「財産税」を科すこと
A最高80%の累進課税
B富裕層の行っているタックスヘイブンなどによる「租税回避」をさせない為に国家間の国際租税条約を締結する必要がある・・・
これがピケティの結論的主題である。

トマ・ピケティはこれらの論証を15年もの歳月をかけて分析し、尚且つそれらを資材としたデータ、グラフ、表をウェブサイトに公表している。

ありがとうございました
M田朋玖



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