コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 夜尿症地獄2021. 1.28

筆者の場合、中学3年生までこれがつづいた毎日である。
寮生活だったのでコトは深刻だ。
何しろ布団を干せない。
布団の濡れた場所をよけながらベッドの端っこに身を縮めて寝るということを繰り返していた。
休日に友人達が布団をベランダに干して乾かしているのを見ると胸が痛んだ。
自分が夜尿症で苦しんでいるということを知っている友人・同級生・同室者・先生はいなかった。
何かしら重大な秘密を抱えて過ごしていたワケで就寝がイヤだった。
勉強室での方がずい分と気楽であった。
夜の校庭をウロついたり時々は寮の外にコッソリ抜け出して隣接する小学校に侵入したりしていた。
おかげで慢性的な不眠症。
とにかく眠る、寝るという日常行動にある種の強烈な恐怖感を抱いていた。
だからと言って「帰省」もあまり嬉しくなかった。
路面電車で寮から熊本駅まで40分。
熊本駅から急行列車で1時間40分。
最短で2時間20分、約3時間の「旅」だ、
暗くなった人吉駅から自宅まで夜道を歩く時「死にたくなるほど」憂鬱であった。
人生で最暗の時代でった家庭の団らんが「好き」ということが無かったからである。
行くも地獄、帰るも地獄。
おかげで勉強と部活に逃げ込んでそれに明け暮れるという毎日。
学業成績は常に上位だったようだ。
記憶には無いが当時の同級生からの情報で競争心が強く負けず嫌いの性格が作用したようだった。

夜尿症は冬には特に辛い。
その冷たさがこたえるのだ。
「冬の寒さに冷たい布団」
そんなんでよく眠れたなあと思うが何とか乗り切って卒業しココにこうしているワケなので、当時からすると「奇跡」みたいな気がする。

夜尿症は子供ばかりではなく高齢者や中年期にも発症することがある。
頻尿の多くは過活動膀胱と診断されるが、夜間頻尿がひどい場合には夜尿症の治療薬の抗うつ薬トリプタノールが劇的に奏効する。
症状が消失して患者さんから感謝されることが時々ある。
意外に身近な病気だ。

メンタル的には泌尿器系の病気や症状は「寂しさ」が「原因の最大」のことが多い。
小児では親の愛情、大人では配偶者の愛情が不足で生じる。
絶対的に。
その本人の感受性もあるが親子の相性の問題で、親から相応の愛情を「受け取れなかった」ことで発症する。
「喘息」などもこの原因(メンタル)が殆んどだ。
そういう自らの体験を通して感覚できることの確信は心の「寂しさ」とそれの秘匿、或いは無視・無自覚などが根底にあるということ。

心の問題は全ての病気に関連していて特別な遺伝子的疾病を除いてほとんど病気の原因が「心」と「飲食」に起因する・・・というのが筆者の持論である。
しょっちゅう性器をいじるとか連日連夜自慰行為にふける・・・などという行為は「寂しさ病」の典型で他の依存症、たとえばギャンブル・買い物・アルコール・その他の薬物・セックスなど数え上げたらキリが無いくらい多くの「寂しさ病」または「依存症類似疾患」を発見できる。

孤独「感」(孤独ではない)や「寂しさ」はあらゆる疾病の素地温床として早急に治療もしくは改善しておくべき心の状態と考えている。
こういう理屈が分かっていてもその解決はそうそう簡単ではない。
たとえパートナーのいる男女で多くの家族や親族に囲まれていても、この「孤独感」や「寂しさ」は生じうるし、環境の問題よりも「心の底」の問題なので本格的な治療が結構難しかったりする。

冬の寒空、星のきらめきはそのあざやかさを増し明度を高めるが1月になるとかすみがかかったように急にその光を鈍くする。
その彩りの無さも心の憂いや寂しさを増幅させる。
暗い灰色と黒色の波打つまだら模様の雲々は、それはそれでかなり美しいものであるがあまり自分の心を同調しすぎていてオソロシイくらいに暗鬱さを高じさせる。
「死」を思うほど深い絶望感が全身の細胞を枯滅させるかと感じるコトが深夜に生じる。
心とカラダの深い関係性を思う時「これはこれでマズい」と思いなおし、抗うつ剤や精神安定剤を手に取りアルコールをやめ冷水やコーヒーをガブガブと飲んでいるとボンヤリとした思考のまどろみと憂いが少しずつ治まってくる。
少年時代のあの「夜尿症地獄」かとくらべるとまるで天国ではないかと思えるようになるのだ。
正気に戻った証拠としてこの「夜尿症」というキーワードは思いのほか効果があるようだ。

ありがとうございました
M田朋玖



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