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■ 疫病 | 2020. 3.26 |
感染症、伝染病の専門家から歴史を見ると人類は「疫病の歴史」らしい。 現在テレビ等で発言しているのは所謂専門家と称する人々なので、上記の視点からの発言となる。 コロナは「疫病」ということになるらしい。 少なくともそのレベルに持ち上げたい意図を感じるし、実際に国際的にそのような位置づけになってしまった。 いつのまに。 過去の疫病の歴史でも現在のような「伝染する精神的狂気」があったらしく、人々は著しい恐怖心の為にさまざまに異常行動を集団的にした。完全に修復するのに200年ほど要したようだ。 現代の「恐怖心」はマスコミのつくり上げた類。 さて、世界的に疫病の代表はペスト(黒死病)だ。 今でも「大量死」の代名詞になっている。 フランスの作家、アルベール・カミュの作品でそのものズバリ「ペスト」という小説がある。内容は同作家の主論とする人間の「不条理」を描いており、それに抗しきれないという一種の虚無主義に貫かれている。 降って湧いたように起こった「疫病」の流行などまさしく不条理そのものだ。 ヨーロッパの中世から近世へと時代の転換をこの疫病が促したということになっている。 現在のコロナ騒動も何かしらの「時代的要請」があるのかも知れない。 「中国の三分割」や世界的な「金融再編」の為に仕組まれたという陰謀説もあるようだ。 NHKは地球温暖化による凍土や氷河の融解によって過去の病原体(ウイルス)が現代によみがえったなどという「珍説」を唱えていた。 ホントかいな。 疫病の歴史を辿ってみよう。 13世紀にはハンセン病、十字軍の遠征によりもたらされた。 14世紀にはペスト。 封建社会を崩壊させ近世への道を開いたとされる。 16世紀の大航海時代、新大陸の風土病であった「梅毒」がヨーロッパにもたらされた。 17〜18世紀には天然痘、発疹チフスが流行したらしい。 産業革命期には「コレラ」や「結核」が環境の劣悪だった労働者のスラム街に流行。 20世紀には新型インフルエンザ「スペインカゼ」が4000万人の人命を奪ったとされる。 8000万人という説もある。いい加減な数字だ。 しかし疫病の代表格はやはり「ペスト」であろう。 急性細菌感染症でネズミとノミを媒体として感染し、空気(飛沫)感染もする。 伝染力も致死力も極めて高い。 発症して2〜3日で頓死するらしい。 頭痛、眩暈、随意筋麻痺、精神錯乱をきたし、現在でも日本の感染症法で1類感染症に指定されている。 さてペスト流行の社会的影響を記してみたい。 1348年からの6年間で3500万人の死者を出したペスト菌は伝染を恐れた人々を都会から地方へ逃避させた。 その結果、農村での同病による死者が急増。 農民の大量死が生じ、労働力としての小作農の急減少により地主(貴族)の築いた「荘園制度」(封建社会)が崩壊した結果、貴族の没落が生じた。 教会の僧侶も逃げ出し、後に起こる宗教改革の端緒にもなっている。 また「ユダヤ人」が井戸に毒を入れたとする「デマ」が飛び出し、ゲットー(ユダヤ人居住区)が襲われ多くの老若男女が殺された。 ユダヤ人の多くは彼らに寛容であったポーランドに移動し、その後ナチスドイツによる「ホロコースト」の犠牲になった。 いやはやユダヤ人の受難には終わりがないようだ。 この時代に流れる「暗黒時代」「死の時代」は人々の死生観にも影響を与え「メメント・モリ」(死を思え)などの言葉が生まれ、人間にとっての「死」の身近さが思想的に残り衛生環境への配慮も生まれ公衆衛生の基盤構築へと向かった。 感染症への恐れは20世紀に入り抗生物質の発見、開発により飛躍的に縮小し筆者の大学時代には「感染症」という教科課目は学生の間でもマイナーになり消化器(悪性腫瘍等)、呼吸器(同様)、循環器(心脳血管疾患)に重きを置く教育になっていた。 再び感染症が脚光を浴びるようになったのはアフリカを起源とするAIDSウイルスや肝炎ウイルス、新型インフルエンザウイルス、エボラ出血熱、ジカ熱など多種の新種のウイルス感染が注目され、我が国の「偉人」野口英世も黄熱病のウイルスは発見できず同病で斃れた。 現代は疫病の時代とは言えない。 少なくとも今の先進国では。 それなのにペストと同じくらいの反応をしている。 ありがとうございました M田朋玖 |