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■ ナイトライド雑感 | 2020. 1.14 |
2020年正月9日。 1ヶ月ぶりの夜のソロツーリング。 午後5:40、すっかり夜の帳が降り、自動車の行き交う通りも真っ暗だ。 ホンダVFR800は始動時のエンジン音が極めて静か。 周辺の住宅を気にする必要がない。 「シュルル・・・」 このオートバイにはハイパ―Vテックという可変吸気システムがついていて7000回転から爆発的な加速を得られる。 そんな風には少しも見えない大人しいフォルムと静粛な始動音だ。 東の空にぽっかりと丸い月。 空に星はなく曇天。 高速道路入り口のETC通路を駆け抜けた時、バイクのデジタル時計は6:03。 一路、行きつけのライダースカフェをめざす。 車体全体が低く、パニアケース(サイドのバッグ)も装着されさらに低重心の外観だし、そのような実感もある。 白く丸みを帯びたボディーシルエットは女性の裸体を思わせる。 可愛くてセクシー。 停めてある時「乗り手の騎乗を恭しく待っている」といった趣がますます熟年ライダーの冒険心をくすぐる。 一見、貞淑で清楚。 実はジャジャ馬で淫蕩。 そんなイメージか。 それにまたがって夜の高速を無心に疾駆する。 ホンダ純正のグリップヒーターとカウル(風防)と部厚い防寒装備で寒さを殆んど感じない。 それでも外気温6℃は手首と腰のあたりを冷んやりと涼ませる。 故意か偶然かトラックが走行車線と追越車線を並列に走り前方に抜けるのを塞いでいる。 どうも同じ会社のトラックらしい。 意地悪だろうか。 後方から追い付いた普通自動車が近づくと「道を開けてくれた」。 これは想像であるが、多分ドライブレコーダーを恐れたのであろうと。 乗用車の装着率は高い。 煽り運転でなくてもこのような迷惑運転で会社にクレームをつけられたりSNSにあげられたりしたらコトだと考えたのだ。 両トラックの間で携帯電話か無線で交信、会話している筈だ。全くの想像であるが。 「交通」というのはコミュニケーション。 一種の団体行動をせざるを得ない。 それぞれのクルマやバイク、トラックはともかく道路は公共のモノでありみんなで共有して使用するものだ。 一定のルールとマナーが必須となる。 それらを大きく無視すると警察の厄介になる。 またひどいマナー違反は社会から激しく糾弾される。 それらの暗黙の信頼関係に基づいた公共の道路をみんなで使用しているのだ。 「道路」と「公共交通機関」との差異はそれほど大きくないとみている。 少なくとも高速や都会では。 あまりにもルールを無視するとアブナイ運転者と見なされる。 運転には性格が出るものらしい。 思いやりに満ちた礼儀正しい人はそのような運転をするであろうし、底意地の悪い人もそれなりの運転をしてみせるものだ。 せっかちな人、ゆっくりとした人、愚鈍な人、鋭敏な人、さまざまな理由で認知能力を落下させた人、それらのすべての能力の高い人。 それらの混在している道路には或る種の不気味さも感じている。 それでも日本人独特のマナーの良さ、民度の高さは夜のバイクの運転を安心で心地よいモノにしてくれる。 追越車線を調子よく飛ばしているとすぐによけてくれるトラックや自家用車にはハザードで御礼の合図をしながら追い越してゆく。 手を軽く挙げて軽く会釈することもある。 それらの「やりとり」が心を温かくさせる。 やっぱりバイクは楽しい。 スピードとスリルだけではないのだ。 オートバイを操る楽しみは・・・。 ありがとうございました M田朋玖 |