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■ 海へ | 2019. 9.20 |
先年亡くなった高倉健の主演映画で表題と同名のがあった。 ちなみに遺作は「あなたへ」だ。 定番の田中裕子との共演。 このカップルは相性的に良い。 健さんは同性愛者だったらしいが、それを感じさせないほどの人気とカリスマと容姿があったように思える。 昔の大スターの典型で今はこのレベルのスターはいない。 芸能人も庶民的で親しみやすく、テレビによって俳優さんとかタレントさんとの心理的距離が近接してしまって所謂「スター」の生まれにくい時代になったような気がする。 それらの大スターの片鱗はハリウッドの映画スターの何人かに残されている程度に見える。 それらの人々のカリスマ性、神秘性、謎めいた雰囲気がテレビ文化によってこなごなに粉砕された感がある。 これらのスター不在の時代。 映画雑誌などもどんどん薄くなって、勿論発行部数も激減して「文化」がテレビとケータイに集束されて庶民大衆文化やポピュリズムが深化してしまった感がある。 ツマラナイ時代になった。 情報や映像がこんなに簡単に「取れる」ようになって、かつての「肖像権」なんてあってないような文化的背景を持つに至った。 スマホをチョコチョコと操作すれば好きな俳優・タレントさんのプロフィールなど解説つきで簡単に得られる。 便利と言えば便利だが・・・。 本題。 今年は海水浴に6回も行った。 しかも同じ場所だ。 10分かそこら海にひたって軽く泳ぐだけであるが、これがまた素晴らしく気持ちが良い。 約1時間20分ほどオートバイで走って辿り着く九州の鹿児島県北西部の長い海浜を落ちて行く夕陽が美しい黄赤色に空気を染め、緑色の海、青い空、茜色の雲や白雲が真っ直ぐな水平線でキッパリと上下に縁どられ、この地球の日本の海浜地帯がパラダイスであることをあらためて知らしめてくれる。 砂風で枯ちかけた「海の家」のたたずまいがかつての海水浴全盛時代の終焉をそれとなく知らしめている。それでもその命脈を何とか保っているようで、パラパラと利用者はいるようだ。 勿論筆者の場合、早くても夕方4時に人吉を出発なので夕刻の5時から7時の間の海水浴。 ちょうど「サンセットビーチ」の態。 人もまばら。 数えるほどだ。 熱心なサーファーの何人かが例のウェアを着てサーフボードにまたがって「波」の到来を待っている。 ここ脇本海水浴場は少年時代の自分の家族時代の思い出が詰まっている。 父親が好んでいた。 遠浅で砂が自然のソレ。 温い水温、美しい夕暮れ・・・日没の光景を眺められる。浜辺から海へ100mくらい出ても「足が立つ」 波に頭をのせて空や水平線や岸辺を眺めていると何かしら遠い原始的な喜悦が全身の感覚器を刺激して或る種の陶酔が脳内を満たす。 バイクの疲れや仕事の疲れがいっぺんに吹き飛んでしまう。 海の治療効果、疲労回復効果、癒やしの効果をこの年になってあらためて感得した次第である。 ついでに競泳用のメガネで魚のように潜ったり跳ねたりすると子供のように「遊んでみる」。 「水」それは肉体の70%の構成成分。 時にはオソロシイ津波やハリケーンや台風や人食いザメなど・・・イメージとして恐怖をそそる類があってもこの静かな波の音、海浜の景色については心と体をウットリとさせる「何か」がある。 海水の成分と羊水のソレには共通値が多いそうだ。 また海辺で生活する人は「長命」とかのデータもあるらしい。 海辺の別荘とクルーザーなんて言うのが昔のお金持ちの定番であったけれど最近の日本ではあまり表立って聞かない。 親戚の金持ちもそれらの趣味を持っていないようだ。 モッタイナイ。 真からの田舎者なのである。 これはいくらか侮蔑的に聞こえるかも知れないが、そういうことではなくて、筆者自身「田舎者」イナカモンの何が悪いという開き直りがある。それでも人生を楽しむという意味では所謂「粋人」ならば・・・それも男ならクルマか別荘か船、海だろうと思える。 そういう身分ではないが夏には海辺のホテルで「海水浴」を楽しむと言った子供が幼い頃の定番的な「遊び」も高齢者になってあらためて実行してみると別の意味で相当に楽しい。 来年の夏には泊りがけのバイク旅行で海水浴に挑戦してみたい。 バカみたいにバイクばかり乗っているのも芸がない・・・とは言え個人的には海辺のホテルに予約を入れてオートバイに水着を積んで一人旅をするというのが昔からの夢ではあった。 こういう場合「女連れ」を勧める人がいるが、それはそれで楽しいだろうとは思うがここはやはりバイクや景色や海や夏と「二人きり」がベスト。 邪魔をさせたくない。 女性と楽しむなら女性との間に何も入れないのが自分流で同じように、つまり遊び事や食事や映画などではない男女間の会話やふれあいで埋めるべきで、その他の楽しみ事を入れるのは何となく邪道ではないかと勝手に考えている。 来年の夏はこの夢を実現させるべく今年の秋、即ち9月には中古車ながら中型のツアラーを手に入れた。 それは純白のホンダVFR800という「通人」のモデルで、嬉しいことにグリップヒーター、ABS、その上何とパニアケースがサイドとトップに3ケも純正で付いていてゴキゲンな旅がすでに約束されたようなオートバイだ。 夏にはやはり「白」だろう。 白黒のモノトーンのバイクウェアでこれにまたがり遠くの海の家、海のホテルでノンビリと本を読んだり海に入ったり・・・現実か夢かもう既に脳は来年の夏の夢に突入している。 ありがとうございました M田朋王久 |