コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 2019夏ツーリング記2019. 8.21

令和元年8月12日は仲間とツーリング。
午前7時出発。
向かうは大分県豊後高田市。
「昭和の町」見学。
総勢9台。
愛知県在住の友人。
未知の赤いドゥカティ2台が加わっている。
途中、エンジン不調でリーダー格の「ハヤブサ」がリタイヤ。
飛び入りのドゥカティも予定どおり熊本市で別れる。
残った6台で「山越え」(阿蘇〜九州山脈)に挑む。
下界の炎天も山に入ると嘘のようにガスと小雨。
体感温度も急激に落下する。
視界不良の南阿蘇の盆地に下りても黒灰色の暗雲が北西の空や山脈を覆っている。
それらの重苦しい空気の方角が目的地を指し示している。

とにかく「行ってみよう」と休憩もそこそこにバイクの鼻先を向けた。
案の定、山の中は薄暗く粟粒のような小雨と霧がバイクとカラダをしっとりと湿らす。
ヘルメットのシールドを手袋の手でぬぐいながらソロソロと飛ばす。
先導役の熊さん(YAMAHA KSR900)がバイクのハンドルに取り付けたスマホのナビをチラチラと見ながら進路を巧みに選択。
推定身長180cm・体重100kgの巨漢が小振りのバイクにまたがって昔のサーカスの「熊」を想像させる。
温厚な性格とモノ知りの薬剤師先生だ。
こと「道」に関しては頼もしい先導人だが、突然の悪天候が判断力を鈍らせる。
リーダー格の「スキンヘッド」(スズキGSX−R1000)と時々何事かヘルメット越しに会話しながら山中道を突き進む。

別府市に入るとそこは青空と白雲。
高速のPAには家族連れのクルマで満車状態。
いきなり真夏の昼時に逆戻り。
山を懐かしいと感じるほど暑い。
大分名物の「唐揚げ」の昼食を取り、高速を乗り継いで目的地・豊後高田「昭和の町」
駐車場料金を案内人の「ふり」をした警備員から500円徴収され入館。
錆の浮いた古ぼけた旧車、トラック、バスが陳列してある。
ダットサンサニー・いすゞクーペ・旧型クラウン・プリンスグロリア。
子供の時に見た懐かしいクルマ達が疲れた心を和ませる。
ダットサンサニークーペは筆者の最初のクルマだ。
こんなに小さいクルマだったのか。
これよりも今の軽自動車の方が大きい。
1200ccながらマニュアルシフトで、当時は排気ガス規制がなく鋭い加速力は今のスポーツカー顔負け。
未舗装の道路をこれでカッ飛んだものだ。
自損事故のため半年でオシャカ。
それでも思い出深い。

クーラーの効いた館内・・・そこは木製の四角い椅子の昔の小学校の教室、駄菓子屋、映画館だったりと昭和の町並を再現してあるもののそこはあくまで「館」の中。
ギラギラした炎天下の町並ではなくスタジオ、映画のセットの「観」がつきまとってイマヒトツ。

結構お金をかけた風であろうけれどそのリアリズムは別として今時のテーマパークほどの迫力はない。
たとえばハウステンボス並みではないということだ。
入館料500円じゃ運営は無理だろう。

午後3時過ぎには出発。
帰路に就いた。
高速派と山越え派に意見が分かれたがとりあえず中間を取り、途中まで高速「九重インター」で下りて山越えというアイデア。
これは結果的に大正解で、山中道のとおり雨や涼やかな冷気が集団ツーリングを快適に変えた。
経験的に真夏の高速道は暑さが半端なく、照り返しも強い。
その上、強烈に退屈でどう工夫しても涼みようがない。
クーラー付きのバイクはないものかと無理な妄想をしてしまう始末。
そのことをメンバー全員「大分〜九重」間の高速で思い知ったのか、全員の意識は山道を楽しんでいるように見えた。
何よりも少しも「暑くない」「クルマが少ない」

それでもバイク乗りの聖地「俵山」のトンネルをくぐり熊本市の夜景が見える頃には午後8時をまわっている。

茜色の美しい夜景と共にそちらの方向から不快な熱暑も少しずつ戻ってくる。
夜なのに暑さが少しもゆるまない。

熊本市内で最終の給油を済ませ、再び九州自動車道・益城インターに入る頃には全身の痛みと疲労とでバイクの運転が修業に変じた。
お盆の為に増えた交通量と道路全体から湧き上がる暖気が不快そのもの。

「山」で立ち寄った「奇跡のコンビニ」デイリーヤマザキで買った炭酸水も温くなっていてまるでお湯だ。
こんな陽の射さない山中道に砂漠にある幻のオアシスのように何と「コンビニ」があるではないか。
奇跡だ。
ブラックコーヒーを淹れてもらい、炭酸水と「落花生」を購入。
リーダーのスキンヘッドとコーヒーを片手にそれをつまみ一息を入れた時、そこは秋のように虫の声が響きわたりうっすらと寒気さえただよわせていたのに・・・。
下界のこの暑さはなんだ。

高速に入ると先導役の「熊」が発狂したように飛ばしてゆく。
それについていくと恐怖と暑さと体の痛みと夜が全身を苦しめる。
今回のツーリングのラストステージを自主的な拷問に変えた。

午後9:00帰着。
心拍数は早鐘のように胸腔内で脈打ち、全身の皮膚を脂汗で湿らせ疲労物質がバイクを降りてもカラダを不愉快な刺激をしてくる。
入浴しクスリを飲んで速攻で入眠した。

長時間の爆睡のお陰か翌日の午後には何も無かったかのように元気。
「睡眠」とはいったい何なのだろうかと考える。
それは単なる「充電」ではない。
素晴らしい癒しであり、神の行う霊妙な施術であり、魔法の疲労回復薬だ。

午後4時にはスクーターに水着とタオルとビーサンを投げ込んで海水浴に出発。
鹿児島県脇本海水浴場、遠浅のロングビーチ。
温い海水と西陽が優しくカラダを労ってくれるのを感じる。
この世はパラダイス。
65歳の夏。

ありがとうございました
M田朋王久



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