コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 世界2017.12.12

塩野七生の「逆襲される文明」という本を手に取って入浴中だけ読んでいる。
何となく丁度良い読み応えの本だ。

世界情勢を知りたいという欲求が常に心の中にあるようで、テレビのニュースや映画や本を漁ってもナカナカ適当なモノに出逢わないと思っていたら、偶然に本屋で目について思わず買ってしまって大当たりであった。

この手の本には池上彰という有名な自称ジャーナリストがいるが、この方の本は買って読んでも少しも面白くない。
何でも良く知っておられるが物事の本質を突いていない。
何となく鋭くない・・・というよりやはりメディア側の人間、この現体制にあまり疑問を持たない側の人間、もっと言うなら世界のエスタブリッシュメントの側、即ち彼らのメッセンジャーにしか見えない。
そう思っていたらこの方の世界の影響力のある10人とかいう本を読んだらアメリカの「コーク兄弟」についてのくだりにはどこか賞賛すべき人物のように描いてあって心からガッカリした。
ハッキリ申し上げるが池上彰氏の言っていること、書いていることをそのまま信じてはイケナイとうすうす感じていたことなので、これが明瞭になって心の中のモヤモヤが一気に取れてスッキリしている。

その点、塩野七生は良い。
昔は単なるイタリアおたく、ギリシャオタクかと思っていたらそうでもない。
多くの日本人に「世界」を知らしめようとする強い意図をその著書の中に感じて毎晩風呂場や寝床で1ページずつ丹念に読み耽っている。
「逆襲される・・・」は何がしかのコラムの編集された作品らしい。
NHK‐BSの花澤雄一郎キャスターとかの伝える「国際報道」「ワールドニュース」とかを熱心に観ていても、勿論色々なニュースの記事を読んでも今ひとつスッキリしなかった世界の問題が良く透かして見える良書であると思える。
最近はこの本を鉛筆を持って線を引きながら読んでいる。

世界を知りたいという欲求をいくらか鎮めてくれるので、ずい分と心が楽になる。
ありがたいことだ。
同じような苦しみ、好奇心をお持ちのお方ならば是非手に取って読んで欲しいものだ。

難民問題、宗教問題、テロの問題、トランプ問題(?)などなど国際情勢の「本質」がうかがえてスッキリするし、自分の文明・歴史についてのセンスが磨かれる感じがして心地良い。

それにつけても今の世界の現実はかつての世界大戦時代よりマシとしても、文明はともかく文化の衰退ぶりには目を覆うばかりである。
イスラム過激派、特にISの連中が何故世界的な遺産とされる貴重な遺跡を簡単に破壊できるのかこの本で初めて分かった。
とにかく「プレイスラム」というらしいがイスラム教出現以前の歴史は彼ら(IS)にとったら単純にnothingと同じなのである。
イスラム以外すべて敵と考えるのと同じ理屈なのである。
オソロシイ集団である。
「テロ」という極めて卑怯な手段でも是とするほど狂信的という表現が虚しく響くくらいにイスラムと反イスラム、非イスラムを峻別している。

今の世界の混乱のもとになっている人間の心のあり様はいったいどの様なものなのか・・・と懸命に考えてもよく分からない。
人間はどこまでも邪悪になりうるのか・・・と考える。
自らの野放しの欲望とそれぞれ独自の狂気じみた考え方が導き出す解答が凄惨なテロ行為や強欲や暴力であるならばこんなに悲しむべき、憂慮すべき問題はない。

日本人だけでなく世界の人類の未来を思う時、現時点での世界のこのありさまは子供たちに誇るべきモノが少しもない・・・というのはとても悲しい。

この世界も人間の心が造り出したものである。
少なくとも人工物の全ては・・・。
そういう意味で人為的、人工的な物事・事柄のすべてに人間は責任を負うべきであり、結果的に負わされるのである。
それぞれの人生のように・・・。
そのことをよく自覚できるかどうかがその個人と人類の未来を決めるのだ。
出来得れば一人一人の頭の中に純良な、善良な美しい世界観が宿っていることを切に願うばかりである。
その集合意識の結果としての世界の平和であり、豊かさであろうと考えている。
一部の邪悪な人間たちがこの世界を動かしている・・・所謂「陰謀説」が正しいのであればこんな悲しいことはない。

ありがとうございました
M田朋玖



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