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■ ベタ甘ラブコメ | 2017. 5.25 |
今凝っている作家が有川浩(アリカワヒロ)である。 字面は男名であるが実は女性。 44才とのことだ。 プロフィールの写真もまあまあの美人。 少なくとも恋愛物語の主人公にはなれるレベルであるなあ・・・と個人的には思える。 表題の言葉も彼女自身の造語らしいが、確かに次から次へと繰り出される面白トークと「こっぱずかしくなる(本人の弁)」恋愛物語には圧倒される。 この手の物語が苦手な読者には“路傍の石”かも知れない。 筆者は正直言ってハマっている。 作者が47年生まれで一白水星というのもハマる遠因かも知れない(筆者と同じ星)。 感性とか感覚、倫理感が殆ど一緒なので、考え方、価値観にハズレがない・・・のでとても読みやすい。 自衛隊が素材というのも面白い。 作者がまるで自衛隊フリークではないかと思わせるくらい、少なくとも自衛隊応援団であることに間違いはない。 警察ドラマがテレビで花盛りである。 思いついただけでも週4本はある。 大人の土ドラ「犯罪症候群」(渡部篤郎主演)、日曜劇場「小さな巨人」(長谷川博己、香川照之)、あとNHKでは舘ひろしの「クロスロード」。 とにかく年中、目白押しと言った按配である。 警察小説も多いが、やはりそのリアリティーさにおいて横山秀夫氏の右に出る作家はいない。 ・・・とくらぶべくもないが、女性の描く自衛隊を背景としたベタ甘ラブコメもナカナカの読み応えである。 そもそも自衛隊+ラブコメというミスマッチが興味深い。 どういう経緯でこれらの作品の連作ができて来たのか知りたいものである。 いずれにしても文句なしに楽しめるのでそちらの方面に抵抗のない方は是非チャレンジして見て下さい。 まさか60代にしてこの傾向のジャンルの小説にハマるとは思いもしなかったあるネ。 何しろ独身の男女、それも20代からせいぜい30代の恋愛物語などに興味津々なんて人には言えないネ(実際コラムに書いてますけど・・・)。 ここら辺は自分としては矛盾はないのです。 以前のコラムでも書いたとおり言いたいこと、書きたいことを書くという行為は筆者にとってひとつのストレス解消であり、浄化作用であり、或る種の排泄行為なのである(キタナイ言葉でスイマセン)。 その排泄物を読まされる方はタマったものではない けれど、それこそ何らかの生きる「肥し」になれば・・・なんて身勝手に、小理屈で自己弁護というか自壊部分のつぎはぎ塗装みたいな言い訳であるけれど・・・。 この手のラブロマンスは大昔から好きに読んでいるけれど、純然たる分かりやすすぎるラブロマンスは読みに耐えられない。 このあたりの差異区別は自分でも測りかねる微妙なもので未だに分析できていない。 有川浩は個人的には掘り出し物ではあった。 相変わらず懲りずに本屋をまわって発掘作業で余暇の殆んど余念がない日常である。 これだから本屋通いはやめられない・・・というより筆者にとっての娯楽施設は本屋しかない。 これは田舎住まいだからというワケではなく、東京に行こうが大阪に行こうがロンドンですら同じである(なんとロンドンには日本語の本を売っている店がボンドストリートにある)。 公園とコーヒーと本とクルマとバイクとライダーズカフェと・・・。 それと5月という季節。 これはとても相性が良いのだ。 これから夏に向かって明るくなる北半球の国々。 その豊かな緑の国、日本で読む日本語の小説の与えてくれる喜びにまさる快楽はそれほど多くはない。 ありがとうございました M田朋玖 |