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■ ライダーズカフェ | 2017. 4. 7 |
ある日曜日、いつものツーリング仲間と出発時間をズラして(自分の都合で)走ったところ仲間より2時間も早く目的地に着いてしまった。 その場所で所在なげに自販機から缶コーヒーを買って飲んでいると、中年の小柄な女性ライダーから「こんにちは」と挨拶をされて、こちらも応答すると同じカワサキのバイクで4台のグループが陽向で数人屯している。 どうもその女性の仲間らしい。 近づいて行って「カワサキですねえ」などと話しかけたら笑顔で談笑が始まった。 よく笑い良く喋る明るい男性が彼女の夫らしい。 その他に若者と中年男性が笑顔で応接してくれた。 「ライダーズカフェがあるのをご存知ですか?」と問われ「知らない」と応ずると行ってみませんかと誘われて好奇心バリバリでついて行った。 午後12:30分頃だ。 軽快に飛ばして件のカフェに到着したのが午後2:30。 そこはかつてガソリンスタンドだった国道3号線の道路端の西側に面して開いており、ガソリンスタンドの給油搭はそのままにカフェの隣のクルマのサービススペースには古いオートバイが3台置いてあって雰囲気は昭和の喫茶店、男の夢のガレージ・・・といった趣きが少しだけある。 上は70代、下は10代までと出入りするお客さんの層は幅広い。 40代の若い夫婦が営んでいるようである。 常連客が殆どで飛び込みの客は滅多にない。 営業は夜は10時まで。 バイクかクルマで時々、週1〜2回はおとずれる。 話しの中心はいつも最初に誘ってくれたH氏だ。 40代半ばで口は悪いが気の優しい人物だ。 笑顔を絶やさず快活で声が大きい。 沈み込んだり黙り込んだりした姿を見たことがない。 軽躁状態かと思われるほどテンションが高い。 チョット熱がりでもあるから甲状腺機能亢進症かとも思われる・・・。 イヤイヤ医者の悪い癖だ。 人をすぐ病人に見立ててしまう・・・。 いずれにしても63才にして新しい友だちがいっぺんに10人近くできたような按配である。 人間の幸福とは後半に行くにしたがってその人間関係に準拠しているとのことで、新しいトモダチができるのは悪いことではないと思える。 時々彼ら(ライダーズカフェの常連たち)とツーリングに行く。 モチロン地元のツーリング仲間とも行く。 そうして酒も飲まないで打ち上げの飲み方に付き合う。 若い人たちに仲間に入れてもらえるのは嬉しい。 同年配の連中と昔話をするのはまだイヤだ。 医者仲間と仕事関連の話をするのもあまり心楽しくない。 どうせ仕事の話なら同じ職場、即ち従業員の人たちと酒盛りするのがとても楽しい。 人間は集う場所が欲しいのだ。 必要なのだ。 昔は病院や医院が高齢者のサロンと化していた。 老人医療費無料の時代だ。 社会保険本人が無料の時代もあった。 それらの人々の集う場所としての医療機関もデイサービス、デイケアと入れ替わってしまった。 医療費抑制政策が40年近くつづいている。 煽りを食っているのは零細の開業医だ。 これも勝ち組と負け組に分かれるそうだ。 自分がどちらに入るのか分からない。 それでも仕事は一生懸命、真剣に取り組まねばならない。 そのストレスの解放の手段として夜の店があり、オートバイ仲間がいて、その集う場所としての「ライダーズカフェ」というのはとても有難い。 その趣味、愛好家の人々が集い合う場所だからだ。 最近、大型書店ツタヤにカフェコーナーが出来た。 主に専門書、哲学書のコーナーが潰されて出来ている。 若い人たちが楽しそうに語り合い、その傍らで静かに読書するオジさん、お姉様がいる。 ナカナカ良い光景だ。 スマホで繋がる仲間も良いけれど、生の声を聴き生の顔を見て集う場所がもっとあっても良いのではないか。 居酒屋やクラブも良いけれど、あらためて「カフェ」というアイデアも今は何故か新鮮に見える。 昔の片岡義男の小説の世界がよみがえる。 オーバイトとカフェ。 これはとても相性が良いのだ。 70代の男性が大きな爆音を響かせ、SS(スーパースポーツバイク、レーサーレプリカ)を駆って国道に飛び出していく。 それを横目で追いながら心は、はるか40年以上前、時代昭和の青春へ飛んで行く。 ありがとうございました M田朋玖 |