コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

[戻る]
■ 断酒2020. 2. 6

ビールはやめたものの未練たらしくウイスキーをちびちびと1日60ccくらいを限度に飲んでいた。
それを3週間程前にフッと思いついてやめてしまった。
体調がどうなるか知りたかったのである。
この断酒の経過結果をご報告してみたい。

一日目、特に変化なし。
ただ中途覚醒が減って1晩に2回程度になった。
翌日の気分もマズマズ。
完全断酒から数日は原因不明の頭痛に悩まされた。
これが「離脱症状」なのか。独特の痛み。
何しろ成人以来、毎日殆んど欠かすことのなかったアルコール。
我が肉体、とりわけ脳がおいそれとはソレをやめさせてはくれないもののようだ。
それでも時間を経るごとに軽快して今は頭痛もスッカリ消失している。
また独特の倦怠感もなく頭がスッキリ清明。
何よりも読書や映画鑑賞を再開できたことが嬉しい・・・。
どうも人間は年齢を重ねるとアルコールに弱くなるものであるらしい。
40歳代で知り合ったハワイ在住のアメリカ人の友人(当時85歳)も「酒は絶対飲むな」と教えてくれたことを思い出す。
ネットの情報で週に350ml1本のビールでさえも「有害」であるとあった。
それらの習慣は種々の禍々しい身体の疾病、傷害を惹起させるようだ。

いずれにしてもアルコールを「一滴も飲まない」状態になって手に入れたモノは予想外に大きかった。
まず、脳とカラダがシッカリと気分良く良調に動くのを感じる。
個人的な要求水準ではまだハッキリとした「正気」とは言い難いものの「覚醒のレベル」が一日のウチで増加した実感がある。
感覚として時間が「伸びた」のでより多くの作業、仕事、勉強が可能になった。
また、何よりも「眠りやすくなった」と同時に睡眠の質が良いと感じる。
寝起きの気分が経時的に、徐々に良くなってきて次第に「元気さ」「正気さ」が増したという自覚がある。

アルコールの影響は想像以上に強烈であるようだ。
それは年齢とともに強度を増す。
以上が自らの断酒体験から得た実感である。

モノの本によると日本人は世界一酒に弱いそうである。
激しく酔えるほど飲酒ができない体質らしくアルコールの代謝産物であるアセトアルデヒドという有害物質を分解する酵素が足りない人も多いらしい。
消化器学会ではアルコールを飲んで「顔が赤くなる人」を「フラッシャー」と呼んで食道癌の発症率が高い人と判定する。
「酒は百薬の長」という言葉は多くの飲酒家の心の「拠りどころ」となっているが、この言葉は現代の最新科学では否定的らしい。
少量の飲酒者が長命とのデータもあって迷うところ。
ここで結論的に自説を述べてみたい。
飲酒の影響についてはその酒類と量も考慮すると「体質とか遺伝因子とかによってそれぞれ個人でマチマチ」。
酒や煙草についてそれに親しんで90歳以上の健康寿命を保持した人がこの世には数多くおられる。
やはり各個人の年齢、性別、人種などの体質以外の要素を鑑みると飲酒を通じて得られた各個人の感覚や気分を重視して判断するのがベストと思える。
明瞭に結論とは言えそうにない「結論」で恐縮。
いつの頃からか筆者も前記した「フラッシャー」になり、さらに飲酒によって良質な睡眠を犠牲にし、結果的に飲酒翌日の気分と体調の不良などを経験してようやく実現した断酒。
それによって得られた多面的な良果。
個人的にはいたく満足している。

かなり以前テレビのニュースである司法人、確か弁護士さんだったか就業中の飲酒によって厄介なトラブルを起こしながらテレビのリポーターのインタビューに答えて曰く「酒をやめるくらいなら弁護士を辞めます」と即答しておられたのを思い出す。
当時はそれほど騒動にはならなかったが今ならどうであろうか。
現代は喫煙者、飲酒者に対する目が年毎に厳しくなっており若者たちの「酒離れ」も経年的に進展しているらしい。
先々は飲酒と喫煙共に「生命がけの贅沢」になり下がり(上がり?)、一部の好事家たちの禁断の嗜好品になっていくのであろうか。
世界中の宗教でも基本的に飲酒を戒律で禁じる類が多い。
文化的背景にいくら長い歴史を誇っていても「飲酒文化」が未来永劫このままつづくとも思えない。
将来的に人類がアルコールを完全に手離してしまうことはないであろうけれど、少しずつ社会的な「圧」が加わって、こと「健康被害」という言葉を文明文化の中心に据えると果てしなく先行きは不透明だ。

「イギリスを救った男、ウィンストン・チャーチル」というアカデミー映画で見事な怪演を魅せたゲーリー・オールドマン「チャーチル」が朝っぱらから葉巻をふかし、グラスになみなみと注がれたウイスキーを飲んでベーコンエッグの朝食を取るシーンが出てくる。
誠に羨ましくも不健康な飲食生活をしておられた。
勿論、今流行の運動とかを一切せずに殆んどの日常の作業を秘書やそれに類する人々にやらせ90歳の天寿を全うされたのであるから現代の健康常識も「怪しいもの」と言わざるをえない。

一方、北朝鮮の独裁者・二代目で前委員長の金正日氏の場合「工作」という新作のスパイ映画によると日中から高級ウイスキーを「生」でガブガブと飲み、齢70歳で心筋梗塞により昇天されたようだ。
両者の寿命に20年の開きがあるのはいくらライフスタイルや体型が似通っていても諸々の要因を勘案しなければならず色々とムツカシイ。彼等の飲酒行動には羨ましいと感じるが、真似はもうできない。

ありがとうございました
M田朋玖



濱田.comへ戻る浜田醫院(浜田医院)コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせいよくある質問youtubeハッピー講座