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■ Kan san ni da(?) | 2019.12.18 |
旧満州の吉林省琿春(フンチュン)は冬季に零下25℃にもなる極寒の地だ。 同地は北朝鮮とロシアの国境に挟まれた狭く長く南に伸びた半島型の中国領地に存する。 人口25万人。 住民の40%は朝鮮族で占める。 韓さん(女性)はその族の出身でその名前の示すとおり朝鮮系中国人。 地元の高校を卒業すると20歳で日本の福岡市に在する日本語学校で1年半の勉強をした。 卒業すると奨学金を得て九州産業大学に進学。 父親を早くに亡くし、母一人妹一人の計三人家族。 厳しいながら愛情深く子供思いの母親に厳しくしつけられ、冬季の極寒など、環境にも鍛えられすくすくと逞しく育った。 平和な国とは言え外国である日本。そこで働きながら奨学金を貰い勉学にいそしんだ。そのお陰もあって比較的良質な企業への就職を果たし、今や勤続10年に届かんとしている。 リーダー的ポジションも得ておられるとのこと。 社会人となって結婚し二人の子供を授かった。 それぞれ男児、女児。 妻業、母業をこなし、また立派な職業人としても活躍中だ。 とは言え、さまざまな辛苦とストレスから心身が全きフリーというワケではない。 軽症のうつ状態に罹患しメンタル系クリニック(当科)にかかった。 自身の生い立ちや環境についての理解もあり相性も良いとのこと。 周囲の支えもあって楽しく前向きに暮らしている。 また大きな夢があって、それに向かってもっと勉強したいと考えている。 33歳の若さ。未来は開けている。 同年代の純粋な日本人よりも貪欲に見える。 夢のない日本人、仕事への意欲の貧弱な日本人。 厳密には中国からの移住者となる筈である。それでも明るい笑顔の温かい人柄。 基本的に健康な肉体と精神とを具有しておられるように見受ける。 メディアの報じる中国人・韓国人の反日的キャラクターは殆んど見られない。 「普通の」日本人より立派なお人柄と思える。 そういう中国人に直に接する機会のない多くの日本人には想像しにくいかも知れない。ひと昔前の日本人のように勤勉で勉強家で向上心にあふれた今の中国系の人々には少しく羨望を覚える。 「夫や子供を愛している」と。 「仕事は楽しい」「大きな夢がある」とも。 これらの言葉を堂々と言える現代の日本人女性は多くはない。 彼女との会話はいつも心楽しい。 言葉のやり取りだけではなく、豊かな表情や前向きで明るい態度にいつも癒される。 その存在はいつも輝いて見える。 彼女の日本での、イヤどこにいても、たとえ帰国したとしても、その人生が実り多く豊かであるよう。またその心身に少しでも資すればと願いながら接しているつもりだ。 日中韓の国際関係における「いざこざ」もこのような個人の関係性については不快な感情が微塵も感じない。何人かの韓国の友人、中国の友人と同様に。 他に数人の外国人の方が来院されるのが、その独特の逞しさや生活力。つまり良質でしぶとい気質には或る種の畏敬の念を覚える。 色々な意味で。 一方で多くの日本人の若者について一言で括ると「鍛錬不足」 彼らには厳しい錬磨の痕跡をまだ発見できないでいる。 ついでに「大きな夢」も・・・。 これらの悲しい現実は、日本国の未来を外国人(中・韓)の優れた人々に託した方が賢明かも知れない・・・などと思う。 アジア極東の我が国と周辺国にも共通の文化がある。それらを上手く融合すればお互いにwinwinの良好な関係を構築出きるのではないか。そんな楽観的な見方も心に浮かぶ。 筆者注)登場人物の許可を取り執筆しています。 ありがとうございました M田朋玖 |