コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 月光の秋2019.10. 8

スーパームーンというそうであるが、月が地球の近くにあっていつもより大きく見えるのを指すらしい。
数日前の夜、たまたま車窓から眺めた満月は赤い色をして東の空にポッコリと浮かんでいた。
それは田舎町の風景に絵画のように溶け込んでとても幻想的。
あらためて月見をしようなどとは思わせない神秘的な威風をたたえていた。

昔の西部劇の夜のように明々とした月光は山々や家々の屋根を美しい青色に染めていた。

今秋は少なくとも10月初旬としては少しも寒さがなく、どこか秋らしくない。
月までがそうだ。
太陽の光を反射する宙空に浮かぶ球体も地上から見るとただの円板のように薄っぺらい。
わずか38万kmしか離れてない月も地球からの宇宙船を受け入れ、資源開発の計画もかつてはあったそうであるが、人類の興味はいつの間にかほかの惑星(火星や金星)に飛び、今や人類の居住可能な他の宇宙系、即ち太陽系以外の「系」を求めて探査機を飛ばしているとのことだ。

今日は月の無い全き闇夜。
山の稜線と黒々とした空の境目さえ目視できない。
高速道路のオレンジ色の路灯とオートバイの前照灯だけを頼りに走る。
月光の夜と比べ楽しみが半減するが、それだけオートバイの運転に集中せざるを得ないという良い面もある。
ホンダVFR800は相変わらず素晴らしい走行感覚を乗り手に与えてくれる。
アクセルを捻ると心地良く優しい鼓動が少しく強くない「ドルル・・・」とか「バルル・・・」とかの良質な手応えを全身に伝えてくる。
「ハイパーVテック」という独特のエンジンパワー増幅機能が備えてあって7000回転くらいから240kgの重い車体を強く前に押し出す。「ビーン」という丁度中型の旅客機の離陸時と上昇加速時の「音と振動」が似ていて気分をさらに高揚させてくれる。

月の無い夜に月のことを考えるなんて不思議と思えるが「不在」による有難みの感得というのはあり得るので、夜のツーリングの喜びに月と星をと山の稜線という「3点セット」がその喜びに欠かせないことをあらためて痛感した。

月光の夜。
青々と美しく染められた涼しい夜気をオートバイで切り裂く悦楽は或る種の名状し難い類のモノで、闇夜のソレは「バイクを飛ばす」以外にこれと言って視覚的な「快」がない。
メーターの速度計のデジタル表示が青く光ってチラチラと表示が動くのを顎下に目視しながら走る時さらに月や星が恋しくなる。

地球上の生物はすべて月や星の運行の影響を受ける。
とりわけ太陽と月のそれは巨大だ。
人類はそのことを太古の昔より熟知していたが昨今の科学文明の進化に伴って人工的な光を手に入れ、人々は益々自然界の「光」を軽視しているように見える。

月光の明かりを頼りに「遊ぶ」と或る種幻想的な喜びを味わう。
「月と一緒にオートバイを駆る」という感覚は残念ながら太陽にはない。
冬はともかく夏の太陽光は暑苦しく、日焼け・紫外線焼けの原因ともなりその有難さより有害さ・灼熱感がイヤラシイ。

秋のそれは幾分優しくなるが冬の太陽はオートバイ乗りにとってその明度より「暖を取る」要素としてはチカラが弱い。
何故か?
冬の晴天は大概曇天より寒い。
北方からの冷たい高気圧の張り出しで寒気がその明度と正比例して日中に少しも暖かくならないということが起こる。
これは冬の月についても言えるが(晴天という意味で)、秋の月は道路や自然の山々や川や木々をいくらか神々しく照らしてくれる。
まさしく「暗夜行路」を「明夜行路」に変えてくれるのだ。

「中秋の名月」とか「十五夜」とか「秋と月」は相性が良い。

「ぬばたまの闇夜に恋し秋の月、光なき山の早路を照らしまじけれ」
オソマツ。

ありがとうございました
M朋王久田



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