コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 「運び屋」2019. 8.10

クリント・イーストウッドの新作。
大量の麻薬をメキシコからアメリカ東部の町、シカゴまでトラックで運ぶ仕事を請け負っている孤独な老人の物語。

最初は何を運んでいるか知らされていない。
クルマを運転して特定の場所に行き停めて一定時間クルマを置いた後、クルマに戻ると運び賃・・・大金が入っている・・・という設定。
お金に困ってその運び屋にさせられて正真正銘のリッパな仕事人になった頃、DEA(麻薬取締局)の凄腕捜査官に摘発されるという結末。

イーストウッドの監督、主演とで撮られた。
製作時、御年88歳というから大したものである。
アタマも常人よりしっかりしておられるようだ。
菜食者で瞑想家であるとのこと。
これらは心身の健康には言葉に出来ないほど良い。
自らの体験でも明言できる。
40歳頃より超越瞑想を始め、現在までなさっておられるとのこと。
健康志向が強くず〜っとダイエットをなさっているとのこと。
勿論、喫煙はなし。
個人的にそれほど好きな俳優さんではないが、この作品で魅せてくれた才能と若さと元気さには憧れを感じる。

麻薬の運び屋を扱った作品ではマイケル・マンの「マイアミ・バイス」やヨーロッパ映画「バーン・アウト」やトム・クルーズの「バリー・シール」がある。
物凄く儲かる仕事のようで、勿論大元の麻薬の製造・販売者ほどではない。
いくら麻薬を大量所持していても「売れない」なら「価値を持たない」
その為にまず「運ぶ」必要がある。
言うならば貿易ですなあ。
麻薬と大金を交換する。
その為には秘密裏で巧妙な運搬作業が必ず要る。
大量輸送できるほど手間も時間も省けてリスクは大きいが実入りも多いと考えられる。
したがって「運び賃」もその運搬量に比例して増えるというワケである。
その麻薬密売の片棒を担がされたクリント・イーストウッド演じるアール爺さんが本業の大物運び屋として最後に逮捕される。

映画「バーン・アウト」ではレーサーあがりのオートバイ乗りが「運び屋」に無理矢理させられてパトカーを振り切って逃げまくるという乱暴なやり方。
最新型の赤のドゥカティ2台を使って夜の高速道路をぶっ飛ばす・・・。
これがバーンアウト(燃え尽きて)運び屋の仕事が無くなっても「パトカーを振り切って逃げる」というスリルへの陶酔が忘れられず夜な夜な自分のドゥカティで深夜の街路を走りまわるというオチとなっている。

マイアミ・バイスはもっとファッショナブルで贅沢。
自家用ジェットや最新型の高速ボートでヘロインを「運ぶ」

違法物を運ぶ、通関するというのは結構スリリングで、以前ヨーロッパ製の無修正ポルノ雑誌を数冊トランクに隠し持って入国しようとして通関する時には流石に少し緊張した。
幸い列の前の男が怪しい人物と見られ・・・それを税官吏がどうして分かったのか知れないが・・・荷物を丹念に調べられ、果ては取調室に“連行”されたようでこちらは表情をチラ見されただけであった。
麻薬とは違うが違法は違法なので物凄くスリリングであった。
軽微ではあるが。

シンガポールだと麻薬所持は死刑であるらしい。
人からコッソリ荷物に入れられたりしたらと思うので彼の国(シンガポール)には入国しないことにしている。
“濡れ衣を着せられる”というのは何回か経験しているのでそういう用心はしている。

こと「運搬」についてはハイリスク、ハイリターンという意味で麻薬・コカインに並ぶものはないだろう。
それほど捕まった時の処罰が世界中で重いということになっている。

堂々と栽培している国がいくつかあって、それは北朝鮮・イラク・アフガニスタンなどだそうでメキシコを含め中南米の国々では世界的な麻薬のカルテルがあって巨大組織を作って巨万の富を得ていたようだが撲滅された模様である。
少なくとも表向きには。
しかしそこは地下組織の強力な専売物質。
非合法でも「売れる商品」ほど美味しい商売はない。
合法でないからこその価値の高騰と稀少性とか相まって、この「いたちごっこ」は永遠につづくものと想像される。
「それを強く欲している人がいる」という事実を物語っているのだ。
また「依存症」という病がいかに恐ろしいものであるかが分かる。

思い切って合法にしたらどうなのであろう。
それなりの公的機関で公定価格をつけて売ることをするのだ。
勿論「治療する」という条件付きで。
公と闇が公然と混在する世の中。
コカイン・ヘロイン・覚醒剤の常習者についての対処法が確立していることと、それらが犯罪の温床になり易いことを考慮するとひとつのアイデアとして社会も国家も学び成長できるかも知れない。
闇雲に摘発するだけでは問題の解決になっていない現状を勘案すると一考できると思える。
カフェイン・ニコチン(タバコ)が依存性も弱いかどうかは不明であるが、少なくとも狂乱状態を惹起することはない。
アルコールの常飲者は油断していて依存症・中毒になると一般に考えられるよりはるかに厄介だ。
大量飲酒者は40代〜50代で廃人のような状態になることは広告業界の圧力によるものかあまり認知されていない。

タバコは良い、大麻はダメ
アルコールは良い、コカインはダメ
カフェインは良い、覚醒剤はダメ
覚醒剤はともかく依存と副作用、脳へのダメージを考慮するとアルコールも相当強烈であるのでコンビニで売られているからと言って用心に越したことはない。
違法薬物はその犯罪性において映画の題材になりやすいが、本当のところどのくらいカラダに悪いのか今ひとつ定かではない。
件の映画「運び屋」は凶悪な麻薬組織、峻厳で容赦ない捜査当局、それらを飄々とかわし自分らしく楽しんで「運び屋」に従事する、幾分ノーテンキそうにも見えて抜け目のない主人公。
90歳前のクリント・イーストウッドがたまらなくカッコイイ。

♪俺の人生は最高さ♪
クルマの中で歌いながら自分のトラックを走らせる。
運びの途中でも親切にもパンク修理を手伝ったり、老舗のサンドイッチ屋に寄ったり、モーテルに女性を二人も呼んで楽しんだりと高齢の運び屋には似合わない大胆不敵でマイペースな所業に「組織」も肝を冷やしたり、ヒヤヒヤさせられたりするのが痛快だ。

この映画は「ロードムービー」の傑作に違いない。
孤独な老人が最後には家族との絆を取り戻す感動的シーンも織り込まれている久々の傑作と思える。
仕事に生きる男、自由を愛する男とその家族。
世界中、いつの時代も時間的・空間的に引き裂かれたこの両者はいつも相容れない。
それが配偶者の臨終に際し「和解」する物語。

「人生は時間だ」
「家族は仕事より大事」

因みに85歳以上の高齢になって最も後悔するのが「健康に気を遣わなかったこと」と「家族との時間を多く過ごさなかったこと」だそうだ。
それらをよく示してくれる映画である。
イーストウッドは野菜を多く摂取し、熱心な瞑想家であるらしい。
健康を維持しないと映画作りなどできないだろう。
この「運び屋」のキャラはクリントイーストウッドそのものと思って再観賞したら、ますます以てオモシロイ。
ありがとうございました
M田朋王久



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