コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 鉄父2019. 6.18

令和元年6月12日、夕。
IRON883XLというハーレーダビッドソン社のオートバイを新車で購入、納車した。
150回ローン、12年、月1万1000円。
その艶消しゴールドデニム(黄色)のカラーリング(タンクとフェンダー)と総ブラックのエンジンと吸排気系(マフラーなど)の為にコンパクトで細身に見える。
所謂「ハーレー」というイデタチではない。
ハンドル位置もやや低く軽い前傾で単座(シングルシート)。

個人的な美的感覚では完全なアウト。
所謂ヨーロッパスタイルの強い前傾がなく、テールの下がり具合がいかにも耕運機などの農業機械を連想させて実にダサい。
あくまで個人の感想であるがハーレー好きやその愛好家、今の若者にはイケてるデザインなのかも知れない・・・とは思うけれど・・・。

ところがドッコイ、実際にまたがって走ってみると、とにかく素晴らしい乗り味でうまく言葉にできないほどだ。
発進加速は凄いが曲がらない、止まらない、スピードが出ない。
音がウルサイ、揺れる、運転しづらい。
操作系がガチャガチャして感触が悪い。
重い、メンドクサイ・・・などホンダのバイクからは程遠い粗雑さや鈍感さがあって、これらのどこが良いのか名状し難いが上記したすべてが反転して好もしいと感じさせる「何か」がハーレーにはある。
乗って運転していると楽しくてしようがない。
飛ばさなくて良いし、信号待ちも苦痛でない。
60kmとか80km、100kmの速度で充分満足。
それで素晴らしく愉快なのである。

その愉快さを少し分析して出来るだけ具体的に表現してみたい。
スペックは馬力不明(推定50馬力)、車重260kg、ローダウンなモデルなので足つきは極めて良い。
発進時に重々しい車体が意外に大きいトルクで強く前に推進される感が丁度、蒸気機関車を操縦しているような感覚といったところか(勿論、実際に機関車を運転したことはないけれど・・・)。
地面に対してドッシリと張り付いているような安定感がそう感じさせるのか、またゴトゴトとした固くて重い振動がそう感じさせるのか、この運転感覚は極めて心地良いモノで、乗り手の脳髄に至福の感覚を味あわせてくれる。
ついでに常に心地良く「揺さぶられている」感じがあって退屈するということがない。
ライディングポジションは一種独特で、基本的に二―グリップ(ガソリンタンクを膝や太股でしめつける)ができない。
腰と腕だけでバイクをコントロールするわけなので、よく街で見かけるハーレー乗りのあの「見苦しい」ライディングポーズ・・・即ち腕を前に伸ばしガニ股で小径の後輪の上にどっかりと尻を乗せ、足を投げ出し、或いは膝をたたんで背中を丸めて・・・というような自然にしていて一風変わったオートバイの乗り方になってしまうのだ。

これをSS(スーパースポーツ)乗りやネイキッドバイク、クラシックバイク乗りからすると「ナンダ、アレは」「何と見苦しい、呆けたような乗り方をして・・・」みたいに見て取ってしまうのだ。
これは筆者自身も40年あまり感じていた特異な感想で、つい1ヶ月前までハーレーなどというバイクには一生乗らなくて良いなどと不遜なことを周囲にもらしていたほどなのに・・・。

昔、高級なクラブなどに行って「バイクに乗っている」というと、大概「ハーレーですか?」と極めて紋切り型でウンザリするほどの耳苦しい返答が帰って来た。
また、ついでに「私もハーレーに乗ってました」とか言われると途端に心の底で「アッ、そう」みたいに「ひいた」ものである。
今(R元年6月14日現在)、そんな感想は殆んど一掃されて強固な悪い偏見がとりあえずめでたく消失した。
ただしハーレー乗りの集団とか「クルーザー」と呼ばれるデカデカと思い切り派手々々しく装飾されたハーレーとかカスタムハーレーには今でも軽い嫌悪感を覚える。

とにかく「見た目」がカッコヨクナイ。
いくらかナルシスト気味のある筆者としてはいかにカッコよくハーレーに乗るかとなると、ファッションとか姿勢(これは限定的だ。ガニ股も良しとするべきか?)、つまり乗り方の全てにこれまでのバイクと異なるセンスを身につけるべきと考える。

それでまず日本、米国、英国の国旗を中心にステッカーを貼りまくった。
後は女性のプロフィール(アメリカ映画に出てくる軍用の飛行機とかに貼られている)を中心にアメリカ的なそれらをセットで購入し全ての塗装部分(黄色)に施した。
自分なりのひとつの「カスタマイズ」のつもりだ。
貼ってしまうと急に存在感が増し、古ぼけた風合いが生まれて「乗り慣れた」感が演出された。
散りばめられた“KEEP MOVING”“TIME FOR TRAVEL”“YEAH”“LIVE YOURSELF”ステッカーの言葉も心にフィットする。

このトシで今さらハーレーもどうかと思うが、これまでのバイク経験がどれひとつ無駄なく必要だという気もする。
軽快な中型バイク、重苦しいリッターバイク・・・これらには相当鍛われた。
そうしてとうとうハーレー。
手持ちの他のバイクが皆ツマラナク感じるほど完成度の高い「乗り味」のオートバイと思える。
「人間に食わず嫌いは禁物だ」

熊本市のKモータース。
試乗車を指して「ドンドン乗って下さい」「行ってらっしゃい」の言葉が耳に残っている。
それほどハーレーダビッドソンのバイクには魅力があるという自ら売っている商品力についての自信を垣間見た。
いたれりつくせりの販売法、接遇・・・国産メーカーも見倣うべきかも知れない。

オートバイは性能だけではない。
まさに鉄父(アイアンパパさん)の如きドッシリとした安定感とゆったりとした乗り心地には人柄や人格を変えるチカラが宿っているようで、無理な追い越しもいっさいせず120k以上のスピードも出さず、トコトコと初夏の風の中を駆け抜ける感覚はそれこそ「鉄馬」の名に愧じないものだ。

初ツーリングは4年来のハーレー乗りの若い友人。
二代目社長。
福岡県久留米市までの往来(国道と県道)をのんびりと乗用車の後ろを追尾して走る。
休憩時には今日(6/16)が「父の日」だとの看板。
4人の子供たちに電話をかけたところ全員気持ちよく出てくれて、声の感触も父子関係がまずまずのようで嬉しい。
普段そういうことは考えもしない我が精神に何かしらよろしきモノを生じさせてくれたのもこの「鉄父」なのかも知れない。
「アイアンパパさん」なんて・・・。
とても響きの良い語感だ。
「寄らば大樹の陰」
その大樹のような「鉄父」でありつづけたいと願いつつ鉄父(アイアンパパさん)は日本の道路をのんびりと走りつづける。

ありがとうございました
M田朋玖



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