コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ 夜風2019. 5.20

5月の中旬になった。
晴天がつづいている。
気温19度。
この時期の夜にオートバイに乗ると涼やかな夜風が全身に吹き当り素晴らしく心地良い。
ジーンズにお気に入りのバイクジャケットをはおって高速道路を疾駆する。
こんな素敵な気分を惹起する行動は今のところ他に思いつかない。
ますます自らのバイク中毒の深度を増していることを痛感する。
バイクに乗れない降雨のつづく梅雨時はどうやって過ごすのだろう。

軽バイクもスクーターも抜群の快楽創出遊具で夜の散歩ならぬ夜のソロツーリングに夜な夜な出かけている。
それはほんの数分間の時から1時間ほどだ。
田舎街の湿り気を帯びた夜の風は草の匂いを含んで、当然真夏に当たるエアコンの冷風よりも心地良い。
日本の四季の中で防寒もせずにバイクにまたがれるのは5月の今頃と9月半ばにほんの瞬間的、短期的に訪れるだけだ。
人間の一生の内でも数100日にも満たない筈だ。
さらに仕事やら他の用事やら遊びやらでオートバイに乗る時間なんてほんの僅かだ。
数10万円から100万円程度のオートバイであってもそれを使用して楽しむとなるとこの時期には多少貪欲になるべきと思うのに。
そんなことはあまり気になさらずに惰性と習慣(晩酌など)でソレに乗らず車庫に眠らせておられるのを伝聞すると自分も含めて時間の有効利用については、こと「楽しい人生」という目標を持っておられる人々であればそれらについての貪欲さには少しく残念な気持ちを抱く。

或るツーリングの時での休憩時に、比較的に年齢の高い(50代、60代)の仲間に向かっていくらかエラソーにのたまわったものだ。

「君達、我々には時間があまり無いんですヨ。乗れる時にはめいっぱい乗らないと年を取ってヨイヨイになったらバイクに乗りたくても乗れなくなるんだから」などと言い放ったところ、ツーリングの回数が格段に増え、月1回が月3回以上になった。
これって昔から言いたくても言えなかったことで、元々バイク好きの彼らもすぐにこの事を良く諒解したようで、ソロでも集団でも以前より頻繁にオートバイで走っている姿を見かけるようになった。

町全体がパラダイスのようになるこの今の季節、夜風と言わずあらゆる空気、自然・・・星空、晴天、曇天を問わずすべての気体がひとつの悦楽を人間の感覚に与えてくれるが、残念なことに一部の人は心の病の為に、多くの悩める人は抱えている「問題」の為に本来は楽しかるべき心を取られてこれらの美しくも壮麗な自然の美と「快」を味わえずにいる。
「今そこにある喜び」
それは元々神の与え賜もうた上機嫌な気分とこの自然環境そのものにあるのだ。

ホンダCBRのエンジンはサクサクとよくまわり、程良い加速感を乗り手に与えてくれる。
「軽快」「小ぶり」「乗りやすい」
これがホンダのオートバイの特徴だ。
アクセルを開くと小気味良く耳触りの良いエンジンが唸り声を上げスムーズに吹き上がる。
実に滑らかな感触。
しばらくは武骨で重い「男カワサキ」は「ノーサンキュー」だと感じさせる。

冴え冴えとした月光に照らされた美しい青色の空気を赤いオートバイで突き抜ける。
人工的に創出されていく夜風であっても空気の質が良いのか、目に優しい見事なブルーがそうさせるのか「暑くない風」は春・夏・秋と冬以外なら味わえる筈なのでソロのナイトツーリングはしばらくやめられそうになり。

エンジンの灼ける匂い、排気ガスの匂いに混じって微かに匂う緑香が青春時代を脳裏によみがえらせる。

今はビールも飲めず夜の店にも出入りせずひたすらオートバイ。
こんなに気持ちの良い季節にバスケなんかしている場合ではない。
仕事中にウズウズすることはないが、正直いつもより「夕方が待ち遠しい」と感じる。

夜風、即ち「夜の風」はこの季節には特別なモノだ。
それはただ心地良いだけでなく「鎮静」であり「充電」であり、何よりも青春時代の「郷愁」そのものだ。
少年時代、基本的に「夜遊び」はご法度。
その夜遊び、それもバイクで遊ぶなんてまさしく少年時代の夢だ。
それを大人になり、仕事もひととおり真面目にいそしんで、子供もとりあえず育て上げ・・・実のところ何もしていないけれど・・・今や堂々とソレを楽しめる年齢と環境を獲得し、かつてより心おきなく「夜風」を楽しんでいる・・・というワケだ。

元々昔から「晩酌」をする習慣がない。
これまた好都合だ。
最近は夕食も摂らない。
実際に本当に飲めなくなり、喫えなくなり(カラダが受けつけない)、とうとう趣味と呼べる類はオートバイしかなくなった。
勿論バスケもあるが比重的に現時点ではバイクに強く傾いている。
時々両方することがあるが、これはもう「時間に追われる」感じがするし、最近凝っている「長時間睡眠」に差し障りがあってタイムスケジュールとしてやや無理がある。
何しろ「仕事第一主義」はこの職を得て固く誓った信念だ。
モチロン不可能ではないが・・・。
「夜」の生み出す独特の大人の世界も「夜の店」を卒業したらさらに自由になって毎日が心楽しい。
その最も身近で可愛くて従順なモノ言わぬ友達がオートバイなのである。

夜風はクルマでも味わえる。
この事に気がついた。
サンルーフを目いっぱい開け、窓を全開にして半ズボンとTシャツとスニーカーで・・・。
梅雨になるとこれが出来ない。
人間は今しか出来ない楽しみ事を時季に応じてするべきと思える。
少年・青年・壮年・老年と自然な流れが「大きな川」としてあっても健康と自由な時間さえあれば川上、川下、川中を言ったり出来るってとても素敵な事と思える。

夜風を存分に味わい終わって一筆。

ありがとうございました
M田朋玖



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