コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 勝利の方程式2018. 8.10

近頃つづけざまに我がバスケットボールクラブの応援コーチをすることになって(多少お節介とか強引にであるが・・・)色々気づいたことがあって少し書いておきたい。

ご存知のように数年前から日本でもプロバスケットボールの「Bリーグ」ができて各地に別れ1部〜2部〜3部とあって各チームがしのぎを削っている。
それでテレビでよく観戦するのであるが筆者にとってはどの試合も「ツマラナイ」と感じる。
一昨年前まではNHKのBS放送でNBA(米国のプロバスケットボールリーグ)のプレイを観られて結構楽しめていたのであるけれど、今はBリーグの放送のみになってとにかく面白くない。
何しろ「レベル」が違う。
勿論個人の身体能力、競技能力の差はハッキリと歴然としており日本人がいくら頑張ってもNBAのプレイヤーのレベルには達することができないのではないかと逆にBリーグが始まって暗然とした気持ちになっている。
残念ながら跳躍力とか運動神経、走力、持久力などいずれをとっても黒人選手の優れたプレイヤーには敵わないように見えるのだ。
またそれよりも外国人のコーチや外国人のプレイヤー(主に米国から招聘されている)のにゲームの進め方などにもかなり不満がある。
実は各自のプレイヤーよりもこちら、つまりコーチングの方に「一言申し上げたい」という思いでこれを書いている。

最近バスケットボールについての或る「気づき」「発見」があってこの内容、バスケの試合における「勝利の方程式」と呼べるモノだ。Bリーグなどをテレビで観戦してこの理論を当てはめてみても殆んどの試合で適応されていることを確認できる理論で、このことをこのコラムで披露してみたい。

バスケットボールは1試合40分(NBAは48分)で行われ、それを10分ずつの4クオーターに分けてゲームが構成される。
かつてのNBAの名ガード、マジック・ジョンソンの言葉であるが「バスケットボールは極めてシンプルだ。またできる限りシンプルにプレイするべき」と述べていた。
全くそのとおりだと思う。

理論的には出来るだけ多く得点をして相手方に少なく得点させるよう工夫すれば良い。
結果としてゲーム終了時に1点でも味方の得点が多ければ「勝ち」となる。
実に簡単な理屈だ。

今は24秒ルールでこの時間内にシュートを打たなければならないとなっているが、こんなにシュートに時間をかけていたら絶対に勝てない。
たとえば目標投数100本とすると24秒で1本打つと2400秒もかかる。
2400秒とは40分だ。
試合時間まるまるとなる。
バスケットボールは攻守が一瞬に切り替わるスピーディーなゲームではあるが、味方の攻撃時間がまるまる40分ということはない。
相手が攻める時間も考慮しなければならない。
大雑把に攻守の時間を等分すると20分となる。
20分の時間内に100本のシュートを打つ(試投)となると12秒に1本となる。
100%のシュート確率だと200点ということになるが一般的にかなり確率が高い選手でも50%がせいぜいだ。
なので実際の得点は100点ぐらいになる。
勿論50%より普通低くなるので結果的には60点(30%)、多くて80点(40%)という得点数がハジキ出される。
それでもっと多くの得点、即ち100点近くを取りたければ12秒より短時間でシュートを打つ必要が生じてくる。
50%確率では8秒ほど、30%程度なら5秒ほどとかなりシュートまでの時間が短くなるので選手たちは攻撃側に入ったらできるだけ早くシュートを打つ姿勢、体勢をつくらなければ高い得点を勝ち取る多試投(100本以上)を実現することができない。

バスケットボールは「時間との勝負」とも言える。
いかに短時間にシュートを打つことが自チームの試合展開を良くするか分からない。
これはBリーグの試合などでも確認しているので録画している方は一度ご自身で確認してみたら良いだろう。
シュートまでの時間、即ち1クオーター内でのシュートの本数と得点数と勝敗には数学的に精緻な相関性があることに気づく筈だ。

あらためて2018年のBリーグの名勝負とされた川崎ブレイブサンダース×渋谷サンロッカーズと栃木ブレックス×滋賀レイクスターズの試合を録画して観戦したが、この「方程式」はキッチリと適応されていた。
特に「川崎×渋谷」については10点以上の差で負けていた第4クォーターの川崎の試投数22本に対し渋谷のソレは12本であった。
川崎の逆転勝ちは必然と思える数字である。
これらの理論はまだバスケットボール「業界」に浸透していないのであろうか。
少なくとも日本のBリーグにおいてはこれらのことを分かっているコーチや選手は少ないように見える。
あまりにも試投数が少ないしシュートまでに時間をかけ過ぎているように見えるからだ。
とにかく余計なドリブルをしたり余計なパスをしたりして大切な攻撃時間を無為に過ごしているように思える試合が多い。
試合時間の中でいかに多くのシュートを打つか、その為にはより短時間でシュートを放つこと。
これに尽きる。

もっと分かりやすく表現しよう。
同じ大きさのガラス瓶(試合時間)があるとする。
その中に小さいビー玉(短時間内のシュート試投)、大きいビー玉(長時間のシュート試投)どちらが「数」を多く入れられるか?
考えるまでもないだろう。

こんな単純な理屈。
逆から見るとディフェンスの時間を長くとる。
それを楽しみ熱中する・・・という取り組み方も上記の理屈に矛盾しない。
ディフェンスの時間が長いということは相手方のシュートまでの時間が長くなるということなので、敵方のシュート試投数が減るということである。

「オフェンスの時間を短くする」ということと「ディフェンスの時間を長くする」ということには普通誰しも抵抗を感じる。
オフェンスの方が面白いからだ。
誰でもボールを出来るだけ保持していたい。
またそれが試合をコントロールする場合に「有利な感じ」がするものである。
これは理解できる。
野球では自分の攻撃時間が長いことを持って「勝っている」実感を生むし、サッカーなどでも味方のボール保持時間の長いことをもって「優勢」と判断したりする。
しかしバスケットボールは上記とは違う。
似ているが違う。
シュートを放つ、それが入ることによって「相手」の「ボールになる」ことを恐れてはイケナイのだ。
それを織り込み済みで、シュートを入れた途端に、或いは外れた途端にディフェンスが始まり(サッカーやハンドボールでは一旦中断がありセンターラインにあらためてセットされ攻撃が始まる)。
つまりディフェンスを喜び、その時間が長いことを有利と考えてそれを楽しむという「考え方」も必要になってくる。

バスケットボールの場合、攻撃時間が長いことを喜んではイケナイのだ。
出来るだけボールを手軽に手放し、それもパスによりシュートで手放すことが大切で、ドリブルでの長時間のボールの保持は試合の最終局面で「勝っている時」の時間稼ぎの時にのみ許されるものである。
特に勝敗についてはこれが言える。
勿論味方チームのメンバーを「休ませる」という目的なら多少許せるかも知れない。
この「理論」はまだ「業界」には浸透していないようなので我がチームの快進撃はしばらくつづくかも知れない。

リバウンドという問題が敵味方両方にとって試投数に絡んでくるが、これは殆ど無視して良いと考えている。
バスケの勝敗を分けるのはリバウンドとルーズボールと、昔から言われているが、筆者は関係ないと思う。重ねて述べるがそれらは敢えて無視してとにかく味方の試投数を増やすことに腐心した方がはるかに効率が良い。
さらにこれらの「理論」が味方メンバー全員でよく了解され納得されていると、試合運びが楽で楽しく、身心ともに疲れない。結果としてバスケのゲームにも勝っている即ち「勝利の方程式」と考えている。

追記
野球メジャーリーグで近年起こっている「フライボール革命」という理論がある。それに匹敵するかそれ以上の「発見」と思える。即ち「アテンプト(試投)革命」。バスケでも第1クォーターだけで勝敗がわかる。殆ど全ての試合で点差に関係なく「アテンプト」の多い方が勝っている。

ありがとうございました
M田朋玖



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