コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 慢性風邪2018. 8. 8

深夜午後11時頃、部屋でくつろいでいたら医院からの電話だ。
「咳がとまらない」「息苦しい」との症状で、救急車で救急病院に行こうと思っていたが「いい先生がいるから」と知人の勧めでいくらか「イヤイヤ来院した」といった趣きの60代の女性を診察したところ喉が強く発赤していたので「風邪です」とキッパリ伝えて明日には治っていますということを保証して帰ってもらった。
自分らしくない言動で診察を終えた。
メズラシク不機嫌であったようだ。

付き添って来たその女性の夫と思しき男性は元々知り合いであったが多分に訝しげに上目で筆者を見つめている。
あまり信じておられない様子だったので重ねて証明を加えた。

経過を問診してみると、その「咳」は1ヵ月前からつづいており、内科・耳鼻科・地域の高次病院である「医療センター」まで受診して検査を受けておられる。
胸部レントゲン、CTまで撮られて「異常なし」との判断・・・これらの前提での筆者の「断言」であった。

「咳がつづく」というと多くの人は心配して「肺癌」ではないかと考えて医療機関を受診することが多いようだ。
また医療機関の方でもその他、肺炎、気管支炎、喘息などの疾患を否定する為に各種の検査をする。
ところが実際には「慢性の風邪」が経験上もっとも頻度的に多い。
特徴は「治療が不充分」なのであるが本人を含め周囲、医療機関の「慢性風邪」への認識が薄い。
市販薬での治療、医師による指導不足、抗生物質の未投与などが原因の殆どだ。

案の定、上記の方も気管支拡張剤・抗アレルギー剤の処方であったが消炎鎮痛剤・抗生物質・抗菌剤の投与はなかった。

最近のテレビに出てくる医者が真面目くさってエラソーに「抗生物質はカゼに出すものではない」などと堂々と、平然と言ったりするものだから大方の一般ピープルから真面目なお医者さんまでもがそれを信じ「風邪に抗生物質」はまるで禁じ手か禁忌のようにますます出されなくなったように見える。
件の内科の先生もよく勉強される真面目なドクターで、その方面からの常識としてそういう選択をなさっておられるのだろうと推測される。

抗生物質の処方への恐れは耐性菌の出現を危惧したものと思われる。
どんな抗生物質も効かない菌がいるらしいが、35年選手の筆者は経験したことがない。
ただ常用回数の多い人の場合、同じ種類の抗生剤・抗菌剤では無効になる場合があるがこれは薬剤の変更で大概解決する。
そもそも特別な疾病以外にその生涯で抗生物質の処方を受ける回数と言ったら知れたものである。
それも普通のカゼで超短期間だけ服用するのにどんな問題があるというのだ。
1ヵ月も咳の為に眠れないような症例など個人の健康の問題としてかなり重大ではないだろうか。
ついでに睡眠剤も処方したが、少食の野菜を中心とした食事と適切な休養休息「良質な睡眠」というものも「風邪」の治療には欠かせない要素である。

巷間にはこの「慢性風邪」の方が結構おられて1ヵ月から数か月、中には1年近くコンコン、コホンコホンと何かしら悪性の病気を思わせるように咳をしておられるのを見ると「一度来てみれば」と言いたくなるが勿論そんなことは殆ど言わない。
表に出たら医者ヅラをするのをやめているというのもあるし羞恥心もある。

上記の救急の患者さんは予想どおり翌日には咳もとまり、前の晩(初診診療日)には眠剤のおかげもあり熟睡できたとのことであった。
2〜3日で完治したのは言うまでもない。

しかし抗生剤云々(カゼはウイルスが原因であるから所謂抗生物質は無効)については筆者の卒業時にも医学知識としての「常識」であったのであるが「臨床の現場」に出てみると、この抗生物質の出番が意外にも多く、発熱する感染症や上記の治りにくい風邪、即ち「慢性風邪」にはきわめてよく奏効する。
尿路感染症、特によく見られる「膀胱炎」など処置室で抗生物質の注射を打つと帰る頃には症状が軽快する・・・ということは何回も経験したまさに抗生物質サマサマである。
個人的なインフルエンザ体験(A、B型)でも診断確定前の抗生剤服用(抗ウイルス剤ではない)で軽快して、タミフルという名の知れた抗ウイルス剤は1capしか服用せずに完治したという経験もある。
勿論抗生剤の服用もほんの1回か2回のみであった。
あとは自らの免疫力が一番のクスリ。
その免疫力を高めるべく食物の摂取を極力控え水分を多くとり安静にしていると殆どの感染症も概ね健康な人なら自然に治ってゆくものである。

全ての肉体の病気は「免疫」が守ってくれている。
健康の維持の為、病気治療の為にはこの「免疫力」を意識しておくと理解しやすい。
免疫力の低下した状態、即ち過労・心労・ストレス・睡眠不足・過食・過量飲酒・うつ状態などは早々に治し改善しておくことだ。
ついでに慢性風邪には少しの抗うつ剤も良く奏効する。
数々の心労を薬物によって強引に取り除いてあげると速やかに咳嗽、発熱などの症状が取れてしまうことがある。

本物医者がテレビに出て来て、したり顔でデタラメを述べる。
そういう厚顔無恥な人物が一目でソレと分かる顔相をして堂々と国民の前に自らを晒している。
また行政府もそれらの御説を信じているフシがあり、医者の臨床判断よりも「検査」を重んじたりするのでヤヤコシイ。

先日も「爪白癬」という爪の「水虫」もテルビナフィンという内服薬を3ケ月〜6ヶ月服用すれば治るのに(実際に治った人が数多くおられる)検査で陰性では処方できず折角治りかけていて本人も楽しみにしていたのに中止せざるを得なくなって患者さんと二人で大いに嘆き悲しんだものである。
つくづくイヤな時代になったものだ。
医療はいったい誰のモノなのだろう。
当然国民の為のものであるし、医者は国民の健康の為に存する筈であるのに今は行政とマスコミに妨害されるような気がする。

ありがとうございました
M田朋玖



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