コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ ノーテンキ病2018. 7. 6

筆者の造語的「症候群」の呼称である。
多く糖尿病の人が罹る。
老若男女を問わず肥満者も罹患する。
女性より男性に多い。
病気の本態として「脳動脈硬化症」即ち脳の血流障害と考えられる。
物事すべてにわたって五感感覚や思考が鈍くなって「どうでも良い」というダラシナイ印象を人に与えて平気でいる・・・という外観を呈する。
もっと簡単には無自覚なあらゆる側面における「鈍麻」という言葉が当てはまるその人間の存在、特に脳の機能について生じている状態、病相である。

筆者も肥満して血圧上昇、腹部の膨隆が起こっている時にはこのノーテンキ病になっていたと思われる。
仕事中に脳が適切に働かず、患者さんとのやりとり、会話が「しどろもどろ」だったり、思考停止状態だったりで、受け答えや治療法や検査項目の選択、リストアップに少々労苦を要し、良く看護師さんの援助を要したくらいであったので結構重症であったと想像される。

これらの事柄、事実は約20kgの減量に成功してから言えることで、当時(体重88kg)は何の危機感もなく「早く仕事を辞めたいなあ」などと言う不届きな考えを時々周囲に漏らしていたくらいの堕落した有様で、今思えば実のところオソロシイ事態であった。

天災は突然襲ってくるが、人間の危機は知らず知らず忍び寄ってくるものなのかも知れない。
人間を死に至らしめる悪性の細胞のように・・・。

このノーテンキ病であるが、筆者の観察では意外なことに経営者に多い。
それも高血圧、糖尿病など所謂メタボリック症候群、生活習慣病を持病に持っている男性だ。
経営者の重要な「仕事」のひとつに自らの「健康管理」というものがあるが、欧米では当たり前のこの重要な「仕事」ができずに上記の疾患に罹患し、さらにその疾病の管理すらできない状態の人々がかなりおられて唖然とする。
明らかなノーテンキ病で自分の健康状態、とりわけ脳の機能について恐ろしいくらい無頓着だ。
いくら懇切丁寧にカラダの状態をご説明しても信じてもらえない、理解してもらえない、実行してもらえないということがよくあって驚嘆してしまう。
悪い意味での「我がまま」という精神の状態で、何でもかんでも「自己流」「俺流」ついでにネット情報、テレビの情報程度の生半可な医学知識を持たれていてそれを玉条の如く信じ切っている人の場合救い難い。
それこそ救えない疾病に罹患するという結末に至ることがよくある。

医学知識というのは浅く見えて深いし、深く見えて浅い。
また広く複雑に見えてシンプルであったりなかったりと一言で捉えられないものなのだ。
世間で名の知られた名医ですらマチガッタ理論・理屈を公に展開して見せて後々大恥をかくということが歴史的にも数多くあるものなのだ。
そういういくらかいい加減な側面を保持しつつも正しい医学知識、健康常識、栄養知識を集めては検証し、実証し、治療に即応させていくのが良医というものではないだろうかと常々考えている。

知識と経験と情報を集積し、データ化し、仮説を立て挑戦的に取り組んでいくのが本当の学問というものであるし、人類の進化発展に資する医学を机上の空論に終わらせず「実学」にならしめていると思える。
この救い難い「ノーテンキ病」を治療するのに非常に苦慮しているが、ひとつのアイデアとしてその人物の配偶者、つまり「奥様」においでいただいて説明する、或いは子供に来院してもらうということを考えている。
これは経営者でノーテンキ病でない人に良く使っているアイデアで、家族の関係性が良好である場合うまくいくケースが多い。

ただし、これらのアイデアですらノーテンキ病には効果がないことがある。
結果的に自らの健康を損なうだけでなく事業の失敗などを招来することがあるが、これも世の倣い、盛者必滅の法則どおりなのかも知れない。
どんな金持ちも「三代しか続かない」という俗説・通説があるが、この原因として社長・経営者の「ノーテンキ病」も原因しているのではないかと考えている。
あらゆることに不用心で、怠慢で、それこそノーテンキなのだ。

一見してそれと分かるノーテンキ病の社長さん、知名人、名士の方々を何かの披露パーティーで数えきれないくらい発見して慄然としてしまう。
いつものように自戒、自戒である。
この言葉は筆者の常套句になってしまった。
常に脳の血流、イヤ全身の血行状態くらいは意識して自らの飲食行動を観察していくしかないのである。
強い危機感をもって、防衛的に・・・。

ありがとうございました
M田朋玖


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