コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

[戻る]
■ 睡眠障害2018. 6. 5

さまざまの精神疾患でこの症状が起こる。
勿論、単純な不眠症もある。
結構判断に迷うところだ。
どちらにしても「眠りさえすればすべて解決する」と考えている人が多いのには驚かされる。
「良い睡眠」は「結果」であることも多い。
即ち精神状態が良い、体調が良いことの結果としての「快眠」である。
精神疾患の方の中には抗うつ剤や向精神薬の効果があらわれて「元気になり」勝手に服薬を中断し、さまざまな身体症状の再発と同時にとにかく「眠れない」と訴えて再来院されることがある。
特に抗うつ剤、向精神薬を中断して深刻な不眠が再発する事は多いものだ。
また重く治りにくい身体症状を伴うこともあるので、激し頭痛とか胃腸症状、耳鳴、全身倦怠感、食欲不振など自覚症状として発症し、たとえば内科をはじめ脳外科、整形外科、婦人科、整骨院、マッサージなどを受診し、通い、多くの場合成果を得られず幸いにして再来される場合には、よ〜く説明して「精神疾患(うつ病、双極性障害、統合失調症など)が存する場合、睡眠薬をいくら服んでも眠れない」こと、また「睡眠薬にはそれらの精神疾患を治す力は無い」ことなどをお伝えする。

これらについての知識や理解は一般に意外なほど知られておらず、メディアや雑誌、親族、友人、知人はおろか医療機関においてすら周知されていないことがあるようだ。
悩ましい問題であり、正しく啓蒙していくべきと思えるが最近は薬の副作用や害悪ばかりあげつらって、こと益について語られていない風潮があるように思える。

多くの精神疾患の方々がおクスリのチカラによって快適で楽しくていきいきとした人生生活を生き、幸福になっている・・・ということを報しめていない。
かなりの数の人々がそれらの適正な投薬によって正常に生活できていることをまずもってお伝えしておきたい。
相変わらず薬についての偏見が「薬漬け」という言葉と共に世間に出回り、流通しており、患者さんの勝手な判断、減薬を煽っており治療の障害になることがある。

睡眠障害、即ち不眠症という症状は重要な病状の目安、治療目標になる。
つまりよく「眠れました」「気持ちよく眠れた」という言葉は「元気になりました」「不快な症状が取れました」と殆んど同じくらい重要な治療効果の判定規準になるのでその点では有難い。

とにかく「不眠症」を舐めてはイケナイ。
一般の内科で出される精神安定剤、睡眠薬が無効の場合、また効かなくなってきた場合、急いで精神科、心療内科を受診すべきである。
またこれらの「科」であっても治療に難渋することも知っておきたい。
「睡眠障害」の勉強会で、正直で謙虚な専門医の先生から良いアイデアはないかと問われることもある。
結構治療の難しい症状であり、基礎疾患の診断に迷うことも結構ある。

こういう場合「良い薬」に出逢うことも大事で、新しい薬即ち新薬については極めてよく奏効し継続的に効果を得られる良薬もあるので、頭や心を開いてそれらの治療薬を受け入れてみることも大切だ。

「眠れない害の方が服薬の害よりはるかに大きい」
「睡眠薬で認知症など脳の機能低下が不可逆性に起こることはない」
「アルコールで眠ることは極めて脳に悪い」
ぐらいの知識はとりあえず提示しておきたい。
また「最初に不眠ありき」との言葉があるように、多くの精神疾患の初発、重要な症状として「不眠」があることも知っておきたい。

漢方薬など不眠の治療については極めて有効であるが、こと精神疾患の治療については効果が弱い。
即ち重い精神疾患を漢方薬で治すことは現時点では「難しい」とお伝えしておく。

巷間書物や雑誌などで提案されている不眠症などの対策はとりあえず「正常な人」を対象としており、何らかの基礎疾患(主に精神疾患、身体疾患)をお持ちのお方には殆んど全く無効である。

簡単な新しい向精神薬がすべての身体症状(胃腸症状、各部位の痛みなど)、精神症状(不眠、抑うつ気分、イライラ、強い倦怠感、食欲異常など)を一気に取ってくれることがあり非常に有難い。

所謂「新薬」についてはかねてより懐疑的ではあったが最近は少し宗旨替えをしている。
強い「有難さ」を感じる。
劇的な症状改善とQOL(クオリティ・オブ・ライフ)生活の質の向上を得られる・・・という点でよく効くお薬については重ね重ね深い謝念すら感じる今日この頃だ。
多くのその他の睡眠剤、主にベンゾジアゼピン系、非ベンゾジアゼピン系の薬剤は正常の人の不眠症については良く奏効するし、服用をつづけても特に問題はない。
やたらに「依存症」を気にする人がいるが「眠れない」ことの害の方がはるかに大きい。
不眠がつづくと認知症になりやすいという説もあるし、これはもう上記の薬物で簡単に眠れるのであれば色々な成書にあるように面倒臭い手続き、手順、工夫をすることは個人的にも推奨はするが、それだけで不充分であれば「睡眠薬」を飲むというアイデアは決して世間で言うほど悪いモノではないと考えている。

精神疾患による「不眠」とただの「不眠症」と明瞭に分けて考えねばならない。
某私立医大の教授先生が不眠対策に寝る前に「紙に書く云々」とテレビで述べておられたが、これなど全く無効である。大学教授などという存在はあくまで研究者で、臨床家ではないので考えてることが非実践的でいくらか幼稚なことが多い。
これは医療機関の従事者も含め、これらの問題を世間一般でもあまり整理して理解されておらず、いくらか混乱している。
「薬を服む」ことを悪と思い込んでいる学歴のある「知識人」などもおられて説得とか物凄く面倒臭いので「お好きにどうぞ」という風な方針でいる。
勿論、深刻な精神疾患による睡眠障害は別であるけれど。

ありがとうございました
M田朋玖



濱田.comへ戻る浜田醫院(浜田医院)コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせいよくある質問youtubeハッピー講座