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■ A‐1 | 2018. 3.22 |
製薬メーカーの招待で講演会の時にJRとか飛行機のチケットを渡されるのであるが、このA‐1(Aの1番)という席を貰うことが多い。 これは当方のことを思ってVIPみたいな扱いをしていただいていてお志はまことにありがたいのであるが結果が最悪だったりするのでそのことを書いてみたい。 一番近々では当地の観光列車「やませみかわせみ号」に乗った時である。 それは全席指定席で板床と木製にクッションを張り付けた椅子、木目のテーブルで見た目には一見とてもアットホームで和やかである。 ところがである。 思い切ってネガティブな論評をいつものようにやや辛辣に語ってみると、まず椅子の座り心地であるが居酒屋でもないのに、そこで飲食をするワケでもないのに約1時間40分を過ごすには極めて不快適であった。 まず高速バスや飛行機のようにヘッドレストがついていないので頭をもたせかけて眠ることができない。 またゆっくりと眠るには室内が煌々として明るすぎる。 これではウタタ寝もできないではないか。 その上、そのA‐1番の席は模様ガラスにしきられた4席のファミリー席ではなく、その席は売店の前の通路の片隅に向かい合わせにポツンと2席だけ置いてあって、たまたま一人であったから良いようなものの、これでは対面の席に恋人も座らせられない極めて空間的に「落ち着かない」席であった。 常に売店の女性に上から見下ろされているようでおちおち本も読めない。 読めない、眠れない、プライバシーがない、安楽がない、アナウンスや観光案内がウルサイ・・・列挙したらキリがないくらい不満だらけの座席で結構空いていたら他の席に移動しても良かったのであるが最初の停車駅でさっさと降りてタクシーで帰って来てしまった。 堪え性のない性格だ。 ヤレヤレ。 乗車前は以前走っていた急行「くまがわ」のように薄暗い室内に全席進行方向に向いた飛行機のような席の配置に飛行機よりもふかふかで背もたれも高くプライバシー保護の意味で他の人の顔を誰も見ずに済み、熟睡もできる優れ物であったのでそのような乗車環境を期待していただけに残念でならない。 前記した列車については「観光」に限定しているようで筆者のように快適で安楽な移動だけを主目的にしている乗客を対象にしてはいないようだ。 おかげで公共交通機関に選択については冠に「観光」とついている類には決して乗らないと心密かに決めた次第である。もともと観光などというものに全く興味がない。従って旅行にも関心がないのだ。 ついでに飛行機のA‐1について書こう。 飛行機の場合A‐1というと今はプレミアム席とかで豪華で居住性が上昇するが何しろ窓側の席なのでいくらか閉所恐怖症気味の筆者としては通路側の方が正直ありがたい。 この年で今さら「空の旅」の喜びを求めて窓外の景色を楽しむまでもないだろう。 その上、一番前の席というと正面が板壁になっていて足を思い切り伸ばせないという意外な欠点がある。 時々LCC(格安旅行会社)の最前列の席を頂くとこれまた別の意味で落ち着かない。 飛び立つ時、揺れの酷い時にはキャビンアテンダント(スチュワーデス)が真向かいに座ったりするのだ。 妙齢の美しい女性がタイトスカートで膝頭をそろえて座っているワケであるから下半身がムズムズして落ち着かずゆっくり眠れない。 ついでにそのCAが立ったり座ったりして目の前を動きまわる姿が見ようとしなくても目に入って来て常時男のヨコシマナ欲望を刺激する。 これはナカナカ制御できる欲望ではない。 ・・・というワケでA‐1の席には個人的にいつも強い警戒感を持っていて、自らそれを求めたりはしないようにしている。 一方で学校の成績がAというのは凄く気分が良い。 自慢話になって恐縮するが、筆者が進学校の優秀クラスを自らの悪事によって退学になり、某大学の付属高校に入学した時には1年間ずっと全ての科にわたり1番だったので、先生たちからも生徒からも一目置かれ、色々な好待遇、とりわけ教師の方々の篤い丁重な対応には驚かされた。 卒業時には優等賞として広辞苑と記念品を貰ってとても気分が良かった。 父親が一番にこだわっていて、筆者を厳しく鍛えたことの理由が初めて理解できたような気がする。 これは書きながら思い出したことで、当時はそんなことは全く興味がなく「大学の医学部入学ができるかどうか」「医者になれるかどうか」 少年時代、すべてはそのことに一心を向けられていた正直に告白するとプレッシャーで押し潰されそうだった。 自殺も考えたくらいであったことをあらためて思い出している。 自分も含めそれほどの知能がない人間が医者になるなんて並大抵のことではなく今はさらに競争や勉学が厳しくなってそこに通う子供が可哀そうになる時がある。 これまた自慢になるが、息子たちは皆大変な努力家で我が子ながらとても尊敬している。 特に医学部に入学した息子については、自分で選んだ道だし「まあ頑張れ」みたいに気楽な対応に終始している。プレッシャーを感じさせないために。 ありがとうございました M田朋玖 |