コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 歯2018. 1.21

これには子供の時から凄く悩まされた。
虫歯である。
当然の如く当時の子供は殆んどみんな歯医者が嫌いであったし、歯科医院も相対的に少なくいつも待合室はごった返していて、夏休みなど子供だらけで歯科の医院内は「芋洗い」状態であった。
そういうワケで治療が後手後手になって悲惨な穴開き状態の奥歯の痛みで長いあいだ苦しんだものである。

中学から高校は寮生活の為に、お菓子やジュースなどの常食常飲が出来ず、少なくとも歯については平穏であった。
それに知人の歯科医に言わせると元々「丈夫な歯」であったらしい。
母方の祖父は一度も歯を磨いたことがなかったらしいが、90才で脳梗塞で他界するまで虫歯や欠歯が一本もなく全部「自分の歯」であった。
オドロキである。
筆者の実母、即ち祖父の娘(長女)も遺伝体質か転倒の為に前歯を1本失っただけで健康で丈夫な歯を持ったまま75才の生涯を終えた

最近歯の調子が良い。
88kgに肥満していた時には原因不明の歯痛の為に深夜に覚醒するほどであったが、減量に成功してからはそれが消失し近頃は厳格な玄米菜食にしているせいか物を思い切り良く噛めるようになった。

4〜5年前に高校の後輩のとても親切で腕の良い歯科の先生に左奥歯の「噛む時の痛み」「噛めない」ことを訴えたらレントゲンを撮った後それを見せられながら「これは歯茎が溶けているからダメですネ」などと残酷なことをサラッと言われて結構ショックだった。
所謂「歯槽膿漏」と言うことらしい。
処置としては抜歯するか、それをした後インプラントなどの方法もあるとのことであったが自分としてはそんなオソロシイことは出来ないし、面倒臭いので「しばらく様子を見て下さい」との優しい歯科医の言葉にすがって4年間ほど何とかかんとかその部分で強く噛まないようにして「モタセテ」いた。

そのようなイキサツ、経緯を経ての「強く噛める」状態の思いがけない獲得であったのでとても嬉しい驚きであった。

甘い物も一切食べず基本的にGI値60以上の糖質を止めてしまったおかげかも知れない。全身のAGEによると思われる炎症が治まったのであろうことの象徴的な現象と思われる。
あらためて「食べ物」の害と有益さ、効果を実感できてこれを書いている。

10年以上昔の中国の大都市・・・北京とか大連・・・とかに知人と出かけ、その頃は今ほどの経済発展はしておらず、まだ田舎臭く素朴な趣きの残った街で素晴らしいご馳走と白酒(パイチュー)というかなりアルコール度数の高い、おいしい酒の味を知って日本に帰ってからもその高級酒をケースで買って飲んでいたことがあった。
とても芳醇でとろけるような味わいで、ハワイでの研修旅行もフラスク(アルコール携帯用瓶)に入れて持ち歩いてチビチビ飲んでいた。
ところがどうも歯の調子が悪い。
脱臼したことのある前歯4本が疼くのだ。
この酒を飲むと必ず歯が痛くなるし、ついでに床にこぼした後のフローリングが変色して剥げ落ち、これはかなりヤバい飲料、劇薬物ではないかと考え飲用するのをやめてしまったところ歯の痛み、疼きもスッカリ消失した。
大学時代にも飲食が放埓になったせいか虫歯で苦しんだ。
或る歯科医院に4年間ぐらい通ったが少しも治らず卒業して帰郷し、知り合いの「腕の良い」と評判の歯科にかかったら2回の通院で完治した。
あの学生時代の4年間の歯医者通いは何だったんだろう。
返してくれ〜。
どうやら歯科医というのは「腕」というものの差が格段に存するようであるし、商売っ気の強い先生と善良で真面目な先生の差異があるようである。
早く治さず長く通院させるという商売上の戦略を持っているお医者様がいくらかおられるように見受ける。
これは「客単価」の低い患者さんも数多く診ないと成り立たないビジネスなので或る程度は仕方のないことであろうけれど・・・。

特に昨今はコンビニより多いと言われる歯科のクリニック。
美容歯科とか矯正歯科、インプラントとか収益の上がる客単価の高い技術と「仕事」を手掛け儲かっている歯科の先生もおられると聞くが、恐らく都会での人口の多い地域のビジネスモデルであるし当地のような田舎町ではそうそう簡単に成り立っていくやり方でもあるまい。
これは他の医療機関にも言えることで、倫理的・道徳的にも仕事をするうえで商売っ気は出してはいけないことになっているし、法律にも謳ってある。また多くのお医者さん、医療機関はこれらに従って営業している筈である。
実のところそれ程綺麗事ばかり言ってはいられないのであるが・・・。
このあたりの感覚は行政との綱引きも絶えず行われているようで、どんな業界もそうなっているが制度や法律というものは「性悪説」に基づいてつくられているが、医療行政においては建て前として「医者は善を成す」という前提で社会的・制度的に整備されている。
即ち「利益を上げる」ことと「良い治療をする」ことの間に少なからずの矛盾を抱えながら成り立っていると言える。

これは世界中のあらゆるビジネスにも言えることで、仕事というものは常に或る程度の倫理観が必要だ。特に医療という業においては高い倫理観を求められると考えていて、それらの社会的要求や期待に応えなければならないものだと了解しているつもりである。

話しが脱線してしまったが、自分の「歯」はどうやら自分の体調の良し悪しをしっかりとその持ち主に伝えてくれているようで、特に飲食生活の改善の効果がハッキリとすみやかに発現する「食物を消化する臓器」の大切な構成器官であるようだ。
何しろ歯科大学というと他の医学部と別個に存在していて同じお医者様でも或る種独特の技術、感性、倫理観を要するものなのかも知れない。

それ(歯)は食べ物の入り口に存し、消化吸収の最初の段階で重要な「噛む」という作業の主役なのである。
多くの自然界の動物は歯を失うと生命も終わりだそうであるが人間の場合、義歯や歯科治療の発達のお陰で歯を失ってからの人生がやたら長くなったそうである。
或る意味とても有難いことである。

長寿健康の為にはまず歯を大事にすることから始めるべきかも知れない。
歯科医というとその数の相対的増加から社会的な地位がいくらか低まった感があるが、その重要性まで低下してしまったワケではない。
バイク仲間の歯科の先生はとても物知りで色々と医学的なことを教えていただくが、それと同時には小学校の頃の父の親友であった筆者の主治医の歯医者の先生に存在が少しダブって、常に頭の中のイメージとして消えたことがない。
それは自分がいつも歯を意識しているからかも知れない。
最近気づいたことであるがバイクに乗っている時にいつも意識させられる臓器が胃や腸の消化器で、近頃はそれが歯であったことに気づかされる。
あらためてバイク仲間の歯科医の先生に自分の歯の調子を尋ねる勇気はない。
オソロシクテ。
前記した今の主治医(歯科)の先生とちがって高校の後輩ではなく先輩であるからかも知れない。
それに何事においても真実に直面するのがイヤなのである。
悪い癖とは思っているが・・・。

ありがとうございました
M田朋玖



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