コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ ビデオ昼顔2018. 1.15

レンタルビデオ店は多く全国的に「ツタヤ」と「ゲオ」になってしまったけれど、この大手両社ともにビデオの貸し出しを主業とし前者は主に書籍とセルビデオ、後者はゲーム。リサイクル商品と棲み分けているようである。

それにしても何故か最近は面白い作品に行き当たらなくなって久しい。
購入して何回も観ようという作品が少なくなった感がある。
レンタルビデオには色々な問題点があって、昔と比べ安価になったのは有難いことであるけれど、とにかく返却が面倒臭い。
返却の利便性についてはツタヤの「郵便返却」、ゲオの「ボックス返却」と工夫を重ねているようだ。
結果としてどんどん店頭に並ぶ新作を眺め歩いても借りて観たいという作品は滅多にないので近頃はメッキリ「借りなくなった」
専らツタヤの雑誌・書籍コーナーを立ち読みしたり購入したりして楽しんでいる。
人生の時間を考えて、それが有限であることを自覚するとつまらない、どうでも良い映画で時間を奪われるのは嫌だ。

一般には本と映画というと時間を喰うのは本と思っている人が殆んどと思えるが、実は本の方がはるかに時間効率が良く、作品によっては楽しみ方の中身について映画より「豊か」であると思える。
本はいつでもどこでも機器をワザワザ繋がなくても見れる(読める)。
本は持ち歩けば隙間時間を使ってどんどん読み進めることができるし、飛ばし読みや読みどめ、読み捨てはビデオ映画の早送りや停止、再生、くり返し読み・・・など読み方・使い方がはるかに自由自在で楽しい。
文字や言葉を読む、考える、想像する、登場人物のイメージを勝手に好きなように頭の中で創り上げることもできる。

これは漫画と本を比べた場合にも想像力をかき立てさせてくれるという意味で本の方に分があるように思える。
筆者の場合、漫画を「読む」というのが苦手で、不思議にアタマに入って来ない。
絵がどうしても創造力や思考の邪魔をするようである。

本題に入る。
映画「昼顔」は数年前に大ヒットしたテレビドラマの続編、完結編として製作された作品で個人的には良く出来た面白い映画だと思える。
大人の映画である。
一度「自分が裏切ったことがあるから相手を信用できないのよ」とかの名言(?)がさりげなく散りばめられている。
物語の展開も早く、映像と音楽とキャスティングが素晴らしい。
ヒロイン・上戸彩が美人に見えたくらいだ。
共演者の演技にもリアリティーにあふれ良かった。
ベテランの俳優さんの演技にはさりげなく真に迫ってくるものがあって、細やかな人情の機微とか心情の揺れとかやりとりの中で観客に良く伝わってくる。
個人的にはひどく情感を盛り上がらせる場面が5〜6ヶ所はあった。
愛と死、恋、夫婦関係、嫉妬、仕事、職場の人間関係、日常生活の様々な行動群や人間同士のやりとりが覗き見的な好奇心を満足させてくれる。
人間の営みについての覗き趣味を満足させてくれるのが映画であり、小説であるらしい。
内容的には食事、料理、仕事、会話、男女の営み、恋愛、夫婦生活、不倫などなど不倫も含めて今は結構一般化した日常生活のありさまを、どちらかというと非個性的に普通の日本人の生活を描いてある。
筆者はこういう作品が割と好きでSF映画、ホラー映画を中心に珍奇とか想像を絶する・・・とかはあまり好きではない。
映画の原点である「覗き趣味」的な要素の濃い作品がお好みのようである。
芸能人のゴシップとか世間の噂話的な出来事には全く興味が湧かない、こと映画になると日常的・覗き趣味的になるのは我ながら不思議である。

戦争映画は興味がある。
極限状態における人間の心理模様について観察するのに適しているが、そのようなことよりも国際情勢とか戦争の方法、手段、道具(武器・兵器)などに興味がある。
軍人というものの性向、本能は多分に男性的なものであろうけれど、主に男性向けにしか使用されない「女々しい」という言葉の表現形が戦争映画で瞬間的に垣間見ることができて面白い。

自分の人生生活に何かしらの益になるものを好み、そこに喜びや楽しみを得ているようだ。
それはファッションであり、ライフスタイルであり、映像美であり、音楽である。
ついでにクルマやバイクが出てくると尚更良い。
出演者が好みの男女であるとさらに好もしい。

あらためて3回目を観てみると色々な気付きがあって面白い。
結婚指輪の金額の分かる領収書とか相手や恋人への呼び方の変化とか微妙な表情の変化とか俳優さん達の演技力にも感嘆させられた。

不倫はやっぱり良くないことなのか?・・・と少し考える。
少なくとも何らかの運気の落下を引き起こすらしい。
ローマ中の、人妻を含めた女性と関係を持ったとされる英雄、ユリウス・カエサル(ジュリアス・シーザー)もしょっちゅうお金に困り借金を重ね、最終的には殺されたではないか。
友人の成功した社長さんは愛妻家で子煩悩で精神的には家庭的な人であったので所謂社会的・経済的に成功した人物の観察では少なくとも人妻との肉体関係については遠慮深いというかかなり慎重派な印象がある。
それでも徳川家康のように人妻や寡婦など今で言うかなりの熟女好きであったようで、それらの女性達との交遊を楽しんでいたとのことである。
それが数百人とも数千人とも言われる「大奥」なるものを完成させたのであるから日本人の倫理感も知れたものである。
それでも日本の風俗史などを読むと地域によっては不倫や不貞について厳しい処罰を下す文化や制度があったりして混乱するが、或る程度の地位や富や権力を持っていると何となく許される風があって釈然としない。
この傾向は現代でも世界中同様であるようで、これらの軽い性的逸脱である不倫というものもフランスあたりでは一般庶民でも常態化しているとのことである。
世界中のセレブと呼ばれる人々についてはこれら性的乱脈ぶりは書物によると相当に激しいレベルであるらしい。
一般の人が知ると卒倒しそうなくらいであるから我々凡百の小市民からすると羨ましい限りである。
こういう風に考えてくると、日本の現代の映画「昼顔」という作品はいかにも善良で小市民的で大衆的であることが分かる。そもそも映画などというものはかなり大衆的な芸術で一般大衆の娯楽のためにある。それをその後半生でマチガエタのが黒澤明だ。大衆や庶民に本当の芸術は分からない。またそれでこそ大衆と言えるのだ。大衆は愚かだという説と賢いという説がある。両方正しい。
ただし悪辣な為政者や宗教指導者などはこれらの大衆というものの無知や愚かさや識見の低さを利して善良な民を操作するのである。

ありがとうございました
M田朋玖



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