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■ 北 | 2017.12.21 |
今年の言葉というのが発表されて、それが「北」だった。 「北」朝鮮ミサイル、「北」海道ジャガイモ不作、キタサンブラック、「北」海道日本ハム(大谷翔平)、九州「北」部豪雨ということらしい。 もともと「北」というのは強い。 中国の歴史を読むと「北狄」という言葉があるように常に北の脅威におびえていたという歴史がある。 万里の長城というとんでもなく巨大、巨長な城壁は「北」からの南侵を阻止する為に造られた。 それほど北が怖かったのである。 朝鮮半島についても同様で、当初は北の方が圧倒的に強かった。 1950年(昭和25年)に始まった朝鮮戦争も当時は朝鮮半島のほぼ全域が北の侵攻で敗戦スレスレであったところをアメリカの援助と後押しで今の38度線まで押し戻し現在に至っている。 実のところ南は北に負けそうであったのである。また北が負けた訳でもない。 ベトナム戦争も然りで、ご存知のように超大国アメリカの力を持ってしても北ベトナムに勝つことは出来なかった。 この極東アジアにおける2つの戦争は北の強さを象徴的に示したもので、北朝鮮が南韓に勝てなかったのはやはり指導者の能力の問題であろうと思える。 一方の北ベトナムの指導者はホーチミン大統領を初め「赤いナポレオン」と称されたヴォー・グエン・ザップ将軍など両人ともすでに故人であるが、今でも救国の偉人として国民からの深い尊敬を集めているそうである。 ベトナムという国はとても懐の深い国民性を持っているようで、あんなに無残で泥沼の戦いをしたかつての敵国アメリカと仲直りをして先日ベトナムで開催されたアセアン諸国会議には米国も参席し会談も普通に行われた。 現在では中国や韓国よりもベトナムとの関係性(アメリカとの)の方が良好のように見える。 一時期世界を席巻したモンゴル帝国も中国大陸の中では明らかの北の民族の国であり、中国最後の統一王朝で268年もつづいた清国もその支配民族は少数民族である北方の辮髪長衣を特徴とする満州族であった。 一方ヨーロッパに目を移すとまずイタリア半島だ。 イタリアの文化は北イタリアと南イタリアと別れていて、常に北のフィレンツェ、ベネチア、ミラノに比べ南イタリアの貧しさが目立つ。 工業地帯も北イタリアに集まり民族も北と南では本国の人に言わせると全然違うらしい。 世界的に有名な浅黒い肌と黒い髪を持つイタリア人、それもマフィア映画に出て来るような人々はシチリア半島をはじめ南イタリア出身である。 北イタリアには金髪の人も結構いるらしい。 EU諸国でもあきらかなように南北問題と呼べるほど北部の豊かさと南部の貧しさが際立っている。 スペイン、イタリア、ギリシャが後者で北欧3国やドイツ、フランス(イギリス)、オランダなどが前者である。 アメリカ大陸でも全く同様で、大きく見ても北米は豊かな国々、強い国、南米は貧しい国々、弱い国となっている。 北米大陸でだけを見てもカナダや合衆国は豊かでメキシコ、中米諸国はあきらかに貧しいときている。 ヨーロッパ大陸と所謂「暗黒大陸」アフリカ大陸の地理的な南北関係については、言わずもがな・・・の体である。 こと北と南については世界の地勢的メカニズムはいったいどうなっているのだろう。 地球規模の何かしらエネルギーの偏在を感じる。 ただ寒い国の人々の方が強く逞しいというのであろうか。 アメリカ合衆国についても歴史的に南北戦争があって、ご存知のように北の勝利に終わった。 このような観点から朝鮮半島における緊張というのは永遠につづきそうに見える。 何よりも不自然(南が豊かで北が貧しい)であるという点と、こと統一のエネルギーという意味では貧しい側の北の方が強そうだという点である。 半島国ではないがベトナムのそれと比較すると極めて興味深い状態である。 日本の国技・相撲でもやたら強くて人気の無かった北の湖とか、美しく人気のあった北の富士とか有名力士に北のつく四股名が多く、南は殆んど見かけない。 四股名の戦いでも北と南の戦いではほぼだいたい北の勝利であるのだ。 北勝鬨なんていうそのものズバリの名前もある。 日本国内でも沖縄より北海道が豊かそうである。 道庁のある札幌は100万都市だ。 九州でも北端の福岡は豊かで人口も多い。 一方で鹿児島はやや貧しい。熊本県内だけ見ても住民の所得は北部熊本の自治体が高い。東京エレクトロンとか本田技研とか一流企業の工場があったりして豊かだ。 熊本県警の「北」署は県内でも最も規模も大きく格式も高い。聞くところによるとその署長は警視正の身分であるらしい。その名称が「中央署」に改められるらしいが、これは止めておいた方がよい。中央と名の付く企業はだいたい潰れる。北のままが字画も良く威厳があってはるかに良い。 熊本県バスケのリーグでも熊本県北部にある玉名市に在する玉名クラブは、やたら強くて県内最南端にある人吉クラブなど足元にも及ばない。多分永遠に勝てない。 これらの原則を世界中の国々や地域にあてはめて観察すると面白い。 その点ドイツの統一は簡単だったのだ。 当時の西ドイツ首相、ヘルムート・コール氏の尽力によって成し遂げられた東西ドイツの統一も何しろ「南北」ではなかったのだから・・・。 「敗北」という言葉もそういう意味だ。 ついでに北枕で寝ると良く眠れる。試してみられたら全然違う。アタマは北がいいのだ。さらに家相上も頭を使う時、即ち勉強したり思考したりするには北に位置する部屋を使うといいらしい。 「北」という言葉から思い浮かぶ事柄を思いつくままに書きつづってみた。 そういえば北島三郎という名前の昭和の大歌手もいましたね。キタサンブラックの馬主であられるらしい。慶賀に耐えません。 追記 日本列島をつらつら眺めてみると凄く面白い。それは大陸国並みに南北にも東西にも長い。山も海もあって雪国もあるし南国もあって台風も来る。特に南北の長さと海岸線の長さ、海域の広さと森林の豊かさによってお隣の中国よりもはるかに豊かな国土を持っているように見える。 ありがとうございました M田朋玖 |