コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

コラム:ひとくち・ゆうゆう・えっせい

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■ ワイン2017.11.30

小学校6年生の時に叔父の結婚式があって、勿論子供なので宴の席に座を与えられたりはしなかったが、子供らしい好奇心に駆られてその集団についてまわり飲食のおこぼれにあずかろうとした。
そうして手に入れたのが赤玉ポートワインという今思えばあずき色の甘いジュースみたいな飲み物で、それがアルコールという物質とか知る由もない。
飲んでいると気分が変になり酔っ払ってふらふらするのが面白く愉快で、あっという間にボトル1本を一人で開けてしまった。
そうこうしているウチに宴会も終わり、その日は日曜日であったので家に帰って来たら夕方5時頃からひどい頭痛と気分の悪さが出現して部屋中を転げ回って、それこそ七転八倒もがき苦しんだ。
筆者の初めて経験する「二日酔い」というものであった。
以来、大酒を飲んでいた学生時代から35才くらいまでと同時に今の今に至るまでワインという飲料を好んで常飲することはない。

一時期よりフレンチジレンマ(パラドックス)がきっかけになったかどうかフランス料理のような肉と脂肪の大量摂取の割に心疾患の少なさ・・・という相関関係についての検討があり、それは「ワイン」の効果、それも抗動脈硬作用によると考えられていた。
実際にそのような若がえりとか抗老化作用を持つポリフェノールが特に赤ワインに含まれていることが証明され、世界中のグルメブームもあったりして猫も杓子も多くの人々がバカの一つ覚えのように「ワイン」「ワイン」とあらゆる場所で・・・自宅、飲食店、居酒屋、寿司屋、スナック、クラブでそれを求め、それに供応しお好みのワインを飲むという文化が出来上がってしまった感がある。
中にはワイン談義とかワイン講釈とかワインの持つ独自の文化を語り合う人々まで出現して筆者をとまどわせている。

この現象は個人的にはいい大人がアニメ・アイドルに夢中になったり、AKBなんとかにハマったりしている人々と同じくらいに奇異な印象を抱いている。
医者の仲間の中には・・・特にどちらかというと裕福なメンバーにはワイン蔵を持っていたりする人もいて驚きである。

先述した少年時代の体験だけではなく筆者の僅かな経験ではワインの健康上の印象はあまりよろしくない。

とにかく友人達のワイン飲みは皆さん肥満しておられる。
中には糖尿病の人もいる。
ワイン+グルメとセットになっていたりするのであろうか。
医者になって初めて偶然に不明熱の人の大腸癌を発見した時も、その人は大学の教授でワインを常飲する恰幅の良い紳士であった。

その上ワイン大好きの女優・タレントの川島なお美という女性も54才で死亡した。
かつて付き合いのあった川島さんと同年の女性もワインをいっぱい飲んでいたが3年前に乳癌に罹患してその後どうなったかは知らない。

「ゴッドファーザー」という映画でも主人公のドン・コルレオーネ(マフィアのボス)が引退した後「ワインの飲みすぎかな・・・」などと言いながら家庭菜園の中で孫と戯れながら急死したシーンが目に残っている。
とにかく何の因果関係も確認したワケではないが、ワイン飲みイコール短命というイメージが頭の中にこびりついて払拭できないでいる。
これは或る意味、偏見とか勝手な先入観とも言えるもので殆ど何のエビデンスも無いが、これらの心理的印象からもワインというアルコール飲料には手を出さないでいる。

その上あの長い脚のついたワイングラスがとても苦手である。
これは生ビールを飲むジョッキとかテレビの宣伝で流行させられたハイボールをジョッキで飲むのと同じくらい強い違和感を覚える。
それは男の飲み方としてジョッキはともかくワイングラスのあの繊細で華奢なイデタチがたまらなくイヤなのである。
もっと言うならそのワイングラスではなく、それを持ってワインを飲むという行為に少しもファッション性を感じないと言ったほうが良いかも知れない。
それをファッショナブルと捉える人もいてヤヤコシイが、個人的には男の飲酒スタイルにはこだわりたい。
最高はイギリス人のパブでのビールの飲み方。
007、ジェームズ・ボンドのドライマティーニ、カウボーイの酒場で飲むバーボンの順でフランス人の食事中に飲む、或いは若いカップルの高級レストランで飲むローソクや花瓶を前にした差し向かいのワイングラスなどというものは美的感覚として何かしら醜悪なモノを感じる。
これから忘年会の季節。
居酒屋で賑やかに飲んでいる姿には何の違和感もないが、クリスマスにするカップルとか家族連れのレストランでの飲食には何故かしらの嫌悪感を覚える。

断っておくが子供連れの家族のレストランでの飲食に嫌悪感を覚えるワケではない。
それはとても微笑ましく麗しい光景だ。
それがワインとか高級レストランとかのミスマッチに対してそう思うだけなのである。
かつて福岡市内で或る雰囲気の良いバーで友人と飲んでいた時に、若いカップルが入店して来てワインのリストを見せてくれと言ったのでビックリした。
店の人はおろか全てのお客さん達がその一言で白けてしまって彼らが帰った後もしばらく沈黙がつづいたが、その時の白け方には一種独特なものがあったのでよく記憶に残っている。
そういう出来事が「ワイン」という飲み物につきまとっているので自分としてはそれに親しむとか飲むとかは一生無いだろうと思える。

ありがとうございました
M田朋玖



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