コラム[ひとくち・ゆうゆう・えっせい]

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■ 独立2017.10.19

日本の言葉で「寄らば大樹の陰」というのがある。
身を寄せるなら大きな木の木陰が安心であろう。
少なくとも雨露、強い陽射しをしのぐには・・・。
転じて大きな組織、会社、国家に寄り添って生きれば少なくとも大きな安全安心を得られる、保証されるという考えに基づくと思われる。

スペインのカタルーニャ州の独立運動が盛んらしい。
同じようにイギリスのスコットランドも独立の気運が高まっているようだ。
イギリスもEU離脱を予定している。
少なくとも国民投票でハードプレグジット、即ちEU(欧州連合)からの完全離脱を宣言した。
イギリス(正式名称はグレートブリテンおよび北アイルランド連合王国)もとりあえず完全な独立国であるが、大昔よりヨーロッパ大陸より海を隔てている島国であり、地勢的には常に大陸と戦って来た歴史がある。
現在はトンネルで繋がっており、最も短いドーバー海峡では僅か37kmだそうである。
日本と韓国よりもはるかに近く位置するが、英語とフランス語は日本語と韓国語との差異程はあるようだ。
地続きでも言葉の違いはあからさまに差があるのに海ひとつ隔てると全くもって不思議というくらいの違いだ。
イギリス、フランス、スペイン、ドイツとの関係性は日本と韓国・中国ほどの険悪さはない。
言うならば今ではレッキとした同盟国であり、かつては強い絆を持つ共同体でもあった。

或る地域が被支配地域でもなく占領地でも植民地でもないのに「独立」を求めるというのはどういうことだろうと考えてみた。

それは自分たちの豊かさへの驕りではないかと思える。
カタルーニャにしろ、スコットランドにしろ、それを統治する国家全体(それぞれスペイン、イギリス)よりも経済的に豊かであるらしい。
たとえば日本でも東京都の豊かさが地方経済を支えているという側面があるようだ。実際は会見互いだが。
或る意味、不平等であるとの意見もあるらしい。
ただし東京の場合、その豊かさが日本全体の経済の中心、労働力や頭脳の集中、組織の中枢機能の場としての存在価値によって得られているという実体があると思われるので、東京が独立する、しようという機運はないようだ。
元都知事・石原慎太郎氏の時に近い言動が見られたが瞬間的に猛反発を喰らった。

一方前記した独立をしたがる地域の人々というのは自分たちが主として経済的に自立して存在できると初めから踏んでいると想像されるが、客観的評価ではスコットランドにしろ、カタルーニャにしろ、住民の「独立の気運」が露わになった途端にそれを下げている。
と言うのも現実的に独立になった場合、まず真っ先に下落するのが信用というものである。
特に国家としての安全が大国と小国では格段の差異があると考えられるからだ。
その国の安全保障は経済力だけではなく軍事力が主たる保証力だ。

スイスなどの小国が大戦中も中立国を維持できたのはその地勢的な有利さ(険しい山々に囲まれている。あらためて取りに行くような資源が無い)と今でも国民皆兵制に象徴されるように小さいながら強力な軍事力を保持していたからだ。
国民投票などという大バクチ的な行動で国や地域を危険に晒すのはよろしくないと思える。
多くの国民というのは普通にしていて住民エゴ、地域エゴの塊なのである。
日本でもこれは変わらず、あらためてゴミ処理施設、軍事施設、米軍駐留、原子力発電所などをつくろうとすると住民の反対が起こる。
成田空港の施設建設の時の大騒動を憶えている方が何人おられるであろうか。
最近では保育園、幼稚園ですら「ウルサイ」との理由で住民の反対運動がおこるらしいご時世だ。
このような場合、住民エゴが全く通用しない中国などが羨ましいと思う行政人がいるかも知れない。
この程度の公徳心、公共や国家に資するという意志の弱い人々がその時の住民・大衆のムードにのまれて「独立」という旗頭に飛びつくのは理の当然なのである。
国家や国民という問題を考えた時に「独立」という問題が軽々に扱われるというのは国際的にも問題であると思える。
何度も述べるように被支配地域、被差別地域、民族紛争、宗教の対立とかの重い課題を背負っているワケでもないのに簡単に独立などと言い立てないほうがよいではないかと個人的にはいつも考えている。
日本の芸能人でも少し売れてくると所属している事務所や会社から独立して業をなそうとするが、人によっては大変な苦労をすることが多いようだ。
その芸能人の生命を数年から数十年失った人、イヤ完全に失った人もいる。
「恩を仇」で返すような「独立」ならやめておいたほうが良い。
「誰のおかげで・・・」とか「寄らば大樹の陰」という言葉は結構良い言葉なのではないかと思う。
かつて大会社のサラリーマンだった人が高い身分を得て調子に乗り、独立して失敗した例が山のようにあった。
自分の「実力」、本当の実力、人間力というものは常日頃から相当に低めに見積もっておいた方が安全だ。
身の丈に合った野望なら良いけれど、一般的にそれが分かる人は少ない・・・と見ている。それは大概高すぎるか低すぎるかのどちらかだ。

ありがとうございました
M田朋玖



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